反LGBTQ+団体の抗議に屈してCMの放送を中止
アメリカの有料テレビネットワークのホールマーク・チャンネル(Hallmark Channel)が、保守系の反LGBTQ+団体「ワン・ミリオン・マムズ(One Million Moms)」からの抗議を受けて、同性愛者のカップルを描いたCMの放送を取りやめたことに、LGBTQ+コミュニティを支持する人たちからの批判が殺到。「#BoycottHallmarkChannel(ホールマーク・チャンネルをボイコットせよ)」というハッシュタグまで誕生し、同ネットワークの視聴をやめるよう呼びかける動きが強まっている。
事の発端となったのは、人気ウェディングサイト「Zola」が制作したコチラのCM。
同性愛者の女性2人の結婚式の模様を描いたこちらのCMを、ワン・ミリオン・マムズは「子供の教育に不適切」だとしてホールマーク・チャンネルに放送を中止するよう要求。
ワン・ミリオン・マムズからの抗議を受けて、同ネットワークはただちに放送中止を決定したが、性別や人種、性的指向などに関係なく、“すべてのカップルに祝福を受ける権利がある”をモットーに、これまで世界中のカップルの手助けを行なってきたZolaは、ホールマーク・チャンネルからこのCM以外の5本のCMをすべて取り下げることを決断した。
その後、この件がZolaによって世間に公表されると、反LGBTQ+団体からの圧力に屈してCMの放送を中止したホールマーク・チャンネルへのバッシングが集中。ついには、2020年の米大統領選の民主党候補指名を争うピート・ブティジェッジ氏までもが抗議活動に参加する事態に。
そんななか、一連の騒動を受けて、ホールマークグループの代表であるマイク・ペリーが声明文を発表。「今回の件で私たちは誤った決断をしてしまいました。(中略)私たちの行動によって傷つき落胆された方に心よりお詫び申し上げます。今後、私たちはホールマーク・チャンネルやホールマーク・カードといったブランドを通して、お互いの違いを受け入れ、すべての人たちが平等だと感じられる道を見つけたいと思っております」と自分たちに非があったことを認め、謝罪した。
作品に同性愛者のカップルが“登場しない”ことでも批判
ホールマーク・チャンネルは、毎年、ホリデーシーズンにオリジナルの恋愛映画を放送することで知られているが、作品で描かれるのはストレートのカップルばかりで、同性愛者のカップルが“登場しない”ことに以前から苦言を呈する声が多く上がっていた。
世間からのそういった指摘を受けて、ホールマーク・チャンネルの親会社であるクラウン・メディア・ファミリー・ネットワーク(Crown Media Family Networks)のCEOビル・アボットは、約2週間前に出演したポッドキャスト番組で「私たちは同性愛者の方々をテーマにした作品を作ることにとてもオープンです」とコメント。同性愛者のカップルにスポットライトを当てた作品づくりをすることに前向きな姿勢を見せていたが、その矢先に今回の騒動が起きてしまった。(フロントロウ編集部)