18歳で経験した「ヌード流出騒動」
ディズニーチャンネルのオリジナルムービー『ハイスクール・ミュージカル』で一躍ブレイクしたヴァネッサ・ハジェンズは、俳優として活動の幅をさらに拡大しようとしていた矢先の2007年、女性セレブたちを標的にした悪質ハッカーの仕業によりプライベートで撮影したヌード写真がネット上に流出するというスキャンダルに見舞われた。
当時18歳で、子供や若いファンも多かったヴァネッサは、被害者でありながら、素肌を露わにした写真を撮影してしまったという事実を公式声明を通じて謝罪。「私を信頼し支えてくれる、私にとってすべてであるファンの皆さんに謝罪します。今回の件をとても恥ずかしく感じ、あのような写真を撮影してしまったことを後悔しています」と、反省の言葉を綴った。
「#MeToo」をはじめとするセクハラ撲滅運動が活性化した昨今では、ヴァネッサのような性犯罪の被害者が謝罪に追い込まれるという構図は、まるで「ヴィクティム・ブレ―ミング」や「セカンド・レイプ」(※)のようだと問題視されるが、ヴァネッサのヌード流出騒動が起きた当時は、「そんな写真を撮るほうが悪い」といった論調の方が格段に強かった。実際に、ヴァネッサや同時期にヌードやランジェリー写真が流出してしまったセレブたちへの風当たりは強く、ネット上でも厳しく批判された。
※性犯罪の被害者にも落ち度や責任があったのではないかと責めたり批判したりする行為。
事件について回想
あの事件から約12年が経ち、2019年12月に31歳を迎えたヴァネッサが、英Cosmopolitanとのインタビューであらためて騒動について振り返り、辛かった胸の内を告白した。
子供の頃から、もともとシャイな性格だったというヴァネッサは、ヌード流出事件のショックについてこうコメント。「本当にトラウマになった出来事だった。誰かのあんなにもプライベートなものを世界中に公開してしまおうと考える横暴な人たちがいるなんて、本当にイカれてると思った」。
さらに、ヴァネッサは、「悲しいことに、人前に出る人間は、自分のプライバシーをコントロールする術を完全に失ってしまう。残念ながら、誰かについて興味を持つ人がある程度たくさんいたら、彼らは、何としてでもその人物の情報を掴もうと、あの手この手を尽くす。それって、ある意味、光栄なことなのかもしれないけど、度が過ぎると、世に出るべきではない完全にプライベートな情報までリークされてしまう」と、世間から注目を浴びる人気商売であるセレブたちが共通して抱える苦悩についても語った。
ハッカーも然り、人々が、ときに、セレブとの境界線を見失ってしまう理由について「映画館のスクリーンでお気に入りの俳優を観て、今度は自宅のテレビで観て…見たい時にいつでも姿その人のを見ることができる。あまりネガティブな言い方はしたくないけど、リスペクトの欠如っていうのかな、本当は知らない人なのに、勝手にその人のことを何でも知ってると思い込んでしまうっていう食い違いが起きていると思う」と自らの体験をもとに持論を語ったヴァネッサ。
スキャンダルが発生してから約12年の間に、さまざまな角度から事件について考えてきた様子の彼女は、騒動で負ったトラウマを抱えつつも、冷静な視点でファンたちの姿勢や世の中の流れを観察し、今では、間違っていると思うことには、躊躇なく声を上げられるようにもなったという。
同インタビューで、ハリウッドにおける「#MeToo」ムーブメントについても言及したヴァネッサは、仕事の場で不適切な口調で話しかけられた経験があることを認めつつ、「オーディションの場であろうと撮影現場であろうと、もし居心地が悪いと感じたら、私は、その場から立ち去るか、そう感じさせた張本人に対して嫌な思いをしていると正直に伝える。もし、それでもやめないなら、『どっか行け!』って感じ。もし、私の主張が気に入らないなら消え失せてくださいって思う」とコメント。
続けて、「地に足をつけてしっかりと立っていれば、誰も私のことを引きずり下ろすことはできないはず」と、セクハラや不当な扱いには、断固として立ち向かう強さを身に着けたと明かした。(フロントロウ編集部)