ヴィクトリアズ・シークレットのモデルの傾向が明らかに
米発ランジェリーブランドのヴィクトリアズ・シークレットは、セクシーかつキュートなアイテムに加え、美しいモデルたちを起用することで人気を集めてきた。さかのぼること1977年に設立され、長い歴史を持つ同ブランドの「ある傾向」が明らかとなった。
それは、過去20年にわたり、ブランドが起用するモデルの体型が細くなっていったということ。ボストン大学(Boston University)の医学部が研究結果を発表した。
同研究チームは、ヴィクトリアズ・シークレット史上初の1995年のファッションショーに出演したモデルたちと、2018年のショーに出演したモデルたちのスリーサイズを計測。モデルたちは、より小さなヒップとバスト、さらに細いウエストを持ち、さらに小さなサイズがフィットするように体全体がスリムになっていたことが、比較により明らかになった。
そんなヴィクトリアズ・シークレットのモデルの傾向とは反対に、研究に協力した皮膚科教授のニーラム・バシは、「アメリカの女性のウエスト周りやドレスのサイズは大きくなっています」と、平均的な女性の体型とブランドを代表するモデルたちの体型のへだたりが大きくなったことを指摘。
広告塔であるエンジェルを筆頭に“女性の美の憧れ”を作ってきたヴィクトリアズ・シークレットだけれど、一方で、“手に入れることができない美の基準”を助長したと、研究チームは主張している。
変わろうとしているブランド
世間でボディポジティブや多様性に対する理解が急速に進むなか、ヴィクトリズ・シークレットは2019年に変化を見せ始めた。
まず、長年モデルのキャスティングを担当し、モデルに多様性を取り入れることに消極的な発言をした過去がある重役のエド・ラゼックが辞任。さらに同年、ブランド史上初めてトランスジェンダーのモデルが起用された。
そして2019年は年末のファッションショーを、1995年の初開催以来初めて中止に。ネガティブな美のイメージを与えていると逆風を浴びていたブランド側が、ブランドイメージを根本から改革するために取った措置だと見られている。
世間の変化と共に、変わろうとしているヴィクトリアズ・シークレット。90年代から“女性の憧れ”を作ってきたブランドは、これからどう変化していくのか?2020年にヴィクトリアズ・シークレットがどう動くかに、世界中が注目している。(フロントロウ編集部)