ヴィクトリアズ・シークレットの“裏側”が浮き彫りに
煌びやかな世界感とセクシーかつキュートなランジェリーで人気を集め、世界中に店舗を構えるランジェリーブランドのヴィクトリアズ・シークレット。ブランドの目玉ともいえる、毎年開催されていた華やかなファッションショーにキャスティングされたモデルたちは、世界のトップモデルとしての肩書を手に入れることができ、憧れの舞台となった。
ブランドが毎年開催するオーディションを勝ち抜くため、夢見るモデルたちはこの日のためにボディメイキングに励み、万全の体制で臨んでいた。
そんななか、1995年にファッションショーをスタートさせ、キャスティングに関わるなど、同ブランドを牽引してきたエド・ラゼック(※)によって、モデルたちに対する女性蔑視やセクハラ(性的嫌がらせ)やいじめが横行していたと米New York Timesが告発。社員やモデル、元重役、契約するクライアントなど30人から事情を聴き、同ブランドの裏側が浮き彫りとなった。
※エド・ラゼックは、2019年8月にヴィクトリアズ・シークレットの親会社L Brandsのマーケティング担当から辞任している。
そのなかには、ファッション業界で活躍するモデルのベラ・ハディッドの名前も。同誌は、2018年のファッションショーのためのフィッティングの際に、ベラの試着を準備する社員に向かって「ショーツは置いてこい」と命じたり、ベラの体に対して不適切な言葉を投げかけたりしたと報じている。同年のフィッティングで、エドが他のモデルの体を触っていたとの証言もあり、その他にも、モデルたちに自身の膝の上に座るように命じたり、キスをするようにと頼んだり、個人的に電話番号を聞いたりと、裏側で人的侵害が横行していたという。
エド・ラゼックはセクハラを否定
これを受け、エド本人がコメントを発表。「事実ではなく、文脈を無視して報じられている。私は、数え切れないくらいたくさんの世界に名を馳せるモデルたちと才能あるプロたちと働けて幸運でしたし、お互いに敬意を持って接してきたことに誇りを持っている」とセクハラ疑惑を否定。
一方、今回証言に登場したベラ本人は、まだコメントを発表していないけれど、以前ベラは「ランジェリーブランドのショーに出演したけれど、そこでパワフルに感じたことはなかった。下着に身を包んでいたときに」と話し、ヴィクトリアズ・シークレットを指しているのではないかと波紋を呼んだ。
また、ヴィクトリアズ・シークレットを牽引していたキーパーソンのセクハラ横行が報じられたのとほぼ同時期に、同ブランドの親会社L BrandsのCEOであるレス・ウェクスナーがブランドの売却交渉に入ったと米Wall Street Journalが報道。同社は数週間以内に新たな契約と後継者となる可能性のある人物を見つけることを目指しているといい、これに合わせてレスは退任することを検討しているという。(フロントロウ編集部)