英国を出禁にした元首相への恨み晴らす
イギリスのグラミー賞と言われるBRITアワードが2020年も開催され、インターナショナル・メール・ソロ・アーティスト部門をラッパーのタイラー・ザ・クリエイターが獲得。
この時の受賞スピーチで、タイラーは約5年前にテリーザ・メイ元首相によってイギリスへの入国を禁じられた恨みを晴らした。
「僕の心の中にいる特別な人にシャウトアウトしたい。5年前にこの国に入れさせてくれなかったあなた。きっと彼女は家でムッとしているだろう。ありがとうテリーザ・メイ」
タイラーがイギリスへの入国を禁止されたのは2015年。当時、内務大臣を務めていたメイ氏は、今後3~5年間にわたりタイラーのイギリス入国を禁止した。その理由は、タイラーの楽曲が「同性愛についての侵害や偏見を助長」し、「テロ的な行動を引き起こさせる視点での憎しみを造成する」からだと、メイ氏がタイラーのマネージャーに送った手紙に書かれていたという。
2011年にリリースされたタイラーのミックステープ『ゴブリン』ほか、この頃のタイラーが描く歌詞には、テロ行為を助長する表現や、アンチゲイ的なリリックが多数登場していた。これが公の秩序を乱しかねないとして、イギリスへの入国が禁じられる以前にも、タイラーが率いるオッド・フューチャーはニュージーランドでの公演を禁止された過去がある。こうした背景から、当時のメイ氏は「イギリスに来ることは特権なのです。ですから我々は、わが国の価値観を尊敬する人を迎えます」として、タイラーの入国を拒否した。
一方のタイラーは、ホモフォビア(※)であることを否定しており、この後から幾度となく自身の楽曲などを通して、自分がバイセクシャルまたはゲイであることを匂わせる発言をくり返している。
※ホモフォビア: 同性愛嫌悪。同性愛や同性愛者に対し否定的な価値観のこと。 概要 同性愛や同性愛者に対し恐怖、嫌悪、拒絶、偏見などを抱くこと。
イギリスへの入国を禁じられて以降、タイラーはメイ氏への恨みを露わにしており、英首相を辞任した時には、「テリーザは去った、俺は戻る」とツイートしていた。
theresa gone, im back
— Tyler, The Creator (@tylerthecreator) May 24, 2019
(フロントロウ編集部)