娘がトランスジェンダーであることを公表
2019年に現役を引退した元NBA選手でマイアミ・ヒートのレジェンド、ドウェイン・ウェイドの12歳の娘ザヤがトランスジェンダーであることをカミングアウトした件で、どういった経緯で娘がトランスジェンダーであることを認識し、公表するまでに親子のあいだで一体どのような会話があったのかを、ドウェインがアメリカの朝の情報番組『Good Morning America(グッド・モーニング・アメリカ)』のインタビューで語った。
FULL INTERVIEW: NBA superstar @DwyaneWade opens up to @robinroberts about daughter Zaya’s gender identity and why it was important to feature this journey his new @ESPN documentary. https://t.co/ZdCAUU3gAQ pic.twitter.com/Bf6xUJQvcx
— Good Morning America (@GMA) February 18, 2020
男性として生まれたザヤが自分の性別に違和感を覚え、最初にトランスジェンダーだと認識したのは3歳の時だったという。しかし、幼い頃はストレート(異性愛者)とゲイ(同性愛者)しか知らなかったため、自分はゲイに分類されるのではないかと考えていた。その後、ザヤは自分なりにリサーチを重ね、トランスジェンダーであるとの結論に至り、家族にそのことを伝えたそう。
「ザヤは自分で色々とリサーチしたんだ。それで、ある日家族を集めて『私はゲイじゃないと思う』と言った。なぜその結論に至ったのかについて、彼女から『私は自分でこう認識してる。これが私のジェンダー・アイデンティティ。私は自分で自分のことを女の子だと思ってる。男の子が好きだから、ストレートのトランスジェンダーだと思う』と説明されたよ。家族としてまずは娘と向き合って話し合うところから始めて、本当の彼女は一体何者で、何が好きなのかを徐々に知っていった。もちろん彼女にプレッシャーを与えるようなことは一切しなかった」
親が子供に良い影響を与えることもあれば、悪い影響を与えることもあると話すドウェインは、ザヤからのカミングアウトをうけて、親として無理に今後についての道筋を示すのではなく、自分たちもザヤと一緒に学び、歩みを進めていく道を選んだことを明かした。
ちなみに、ザヤからトランスジェンダーであることを打ち明けられるまで、人生で一度もゲイやトランスジェンダーの人たちと関わりを持ったことがなかったというドウェイン。以前の彼は「仲間とロッカールームで間違った表現や言葉を使って会話をしていたタイプ」だったそうだが、ザヤの成長を見守る過程で「もし娘からトランスジェンダーであると言われたら?」と自問自答したことがきっかけで、これまでの自分の言動や考え方を改めたそう。
世間の意見は真っ二つも家族は全力でサポート
「俺たち家族は愛し合っている。誰ひとりとして完璧じゃないけど、お互いのことを心から愛しているし、この先どんなことがあろうとそれは変わらない」息子だろうが娘だろうが、親としてするべきことは自分の子供に無償の愛を注ぎ、全力で愛することだと語るドウェインが、ザヤの件で最も心配だったのは世間の人たちの反応。
案の定、まだ12歳のザヤがトランスジェンダーとして生きることを選択し、それを公表したことに、反発する声も多く上がっているが、ザヤと同じ境遇にある子供や家族から感謝されることも多いそうで、ドウェインは「ザヤと同じような状況にいる人たちの代表となって、代わりに声を上げる。それが俺たちがやろうとしていることなんだ。世の中には俺たち家族と同じように子供たちと話し合って、学んでいる最中の家族がたくさんいる」と、自分たちの決断に賛同してくれる人たちからの声が励みになっていることを告白。
さらに、同じような境遇にある人たちに向けてアドバイスを求められると、「まずはオープンマインドでいることが大事。自分でリサーチして、子供に直接質問して、ほかの人たちの意見も聞くんだ。これはとても重要な会話だからね。うちの12歳の娘は毎日のように俺たちと会話をしてる。これは彼女の人生なんだ。やり直しがきくゲームとは違う。俺たちには彼女の心を守る義務がある。彼女の幸せを守らなきゃいけないんだ。そのためにできるかぎりのサポートをしてあげないといけないんだ」と語った。
ドウェインの妻で女優のガブリエル・ユニオンや、ドウェインの息子でザヤの兄ザイールもザヤを全力でサポートすることを表明しており、ザイールにいたっては、つい先日インスタグラムにアップした投稿で、「君(ザヤ)のことをほかの人たちがどう思うかなんて僕は気にしない。君は僕の親友で、僕は君のことを愛してる」と妹への深い愛情を綴っている。
ちなみに、ドウェインいわく、カミングアウト後もザヤは普通に学校に通っているそうで、本当の自分を隠すことなく生活できることにイキイキとした様子を見せているという。(フロントロウ編集部)