新作が落書き被害に
正体不明で神出鬼没のミステリアスな芸術家として知られるアーティストのバンクシー(Banksy)。
イギリスを本拠地としつつ、世界中のストリートなどに社会風刺的な壁画などを残し、過去には作品が約13億円で購入されたこともある彼が、2月14日のバレンタインに合わせてお披露目したのが、故郷ブリストルの民家の壁に描いた意味深なこちらの作品。
Y字型のパチンコを持った少女が壁に向かって何かを打ちつけ、破裂した様子を真っ赤なバラなどの造花によって描かれたこのアートは、バレンタインデーの前日にバンクシーが若き日に腕を磨いたバートン・ヒル地区マーシュ・レーンにて発見。同地区は公的費用削減などの煽りを受け、最も貧しいエリアの1つだと言われている。
故郷への愛を独自に表現したとも解釈され、世界中の注目を集めたバンクシーのこの新作は、なんとも残念なことに、出現から48時間あまりにして、何者かに汚損されてしまった。
パチンコを持つ少女の絵の上には、ピンク色のスプレー缶ペイントで「BCC・・・」と後半が判読不能な文字が落書きされ、さらにその横には、不格好なハート形が描き足された。
「むしろ嬉しい」
自身の新作が台無しにされてしまったことを受け、バンクシーはインスタグラムを更新。この作品の下絵となったスケッチをいくつも公開し、こんなコメントで、じつは作品の出来に100パーセント満足していたわけではなかったことを明かした。
「バートン・ヒルの作品が破壊されたことは、むしろ嬉しい。最初のスケッチのほうがずっと良かったからね」
試作として書いたスケッチのほうが、実物よりも優れていたと明かし、作品が汚損されてしまったことをポジティブにとらえたバンクシー。
彼の飄々とした態度に、多くのファンたちは、より一層カリスマ性を感じずにいられないようで、作品が汚されてしまったことを惜しむ声と並行して「いつも通り、すばらしい姿勢だね」、「アートというものは、いつか破壊されてしまうもの」、「まさに生ける伝説だ」といったコメントが続々と寄せられている。(フロントロウ編集部)