「世界野生生物の日」とは?
「世界野生生物の日(World Wildlife Day)」とは、通称ワシントン条約と呼ばれる条約が採択された1973年3月3日にちなんで、2013年に制定された記念日。地球上のあらゆる自然や景観の中に息づく、多種多様な野生生物に対する意識を高めていこうと制定されたもの。
ちなみに、ワシントン条約の正式名称は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」。たびたび問題になるけれど、世界各地でさまざまな野生の動植物が絶滅の危機に瀕している。数にしてなんと約3万種。その理由の一つが、人間による野生生物の「過剰な利用」と言われている。
生きた動植物に限らず、植物の種や動物の羽、牙、爪、毛、骨など、野生界のさまざまなものが、人間が食べるため、消費するため、観賞するため、ペットとして飼うためなどに利用されており、こうした人間による過剰な取引によって、絶滅するおそれのある野生生物を保護する国際条約が、ワシントン条約の役割。
ワシントン条約には、2019年11月現在で183ヵ国・地域が締約している。
今年のテーマは?
猫科の大型動物の保全を目的とした2018年の「ビッグキャット(Big Cats)」、若者の活動にフォーカスした2017年の「若者の声を聞こう(Listen to the Young Voices)」など、世界野生生物デーは毎年さまざまなアングルから動物の保全に役立つ考えを啓もうしている。
2021年のテーマは「森林と生計:人と地球を支える」
2021年のテーマは、森林と森林を生活の糧にする人々にフォーカスを当てた「森林と生計を支える人々と地球」。森林地域内または森林に隣接して生活している2億〜3.5億人の人々の生計を支えているとともに、食料、避難所、エネルギー、医薬品などの需要に応えている森林の大切さを考える年となっている。
2020年のテーマは「地球上の生命すべてを守り育む」
2020年のテーマは「地球上の生命すべてを守り育む」。このテーマに込められた意味は、「すべての野生動植物の保護だけでなく、人々の暮らし、特に自然と密接な関係をもつ人々の暮らしを重視する」というもの。
野生生物の置かれている状況
近年、世界の野生生物はこれまで以上に厳しい環境に晒され始めている。
2019年から2020年にかけては、オーストラリアで発生した大規模森林火災で4億8000万匹以上の動物が命を落とした。これは、気候変動による記録的な高温や乾燥が影響していると言われ、その気候変動による地球温暖化は、絶滅の恐れがある3万種の動物の約10種に1種に影響を与えている。
また、2019年12月に『Biological Conservation』で発表された論文によると、人間の経済活動によって現在までに世界の昆虫種の40%以上が減少し、ものの数十年で絶滅する恐れがあるという。昆虫の現象は大問題で、現象を食い止めなければ生態系全体が飢餓により崩壊してしまう。
この要因の一つとして、「昆虫食」の流行による乱獲も含まれているそう。
「世界野生生物の日」はぜひ野生生物の現状を知って、自分がどう行動すべきかについて考えを巡らせてみては。(フロントロウ編集部)