ブラジャーが“選択肢”になる世の中へ
昨今、欧米では「女性の乳首=卑猥なもの」と捉える風潮を変えようと、「フリー・ザ・ニップル(乳首を解放しよう)」というムーブメントが若者を中心に活発化しており、ノーブラで生活する女性が増えているほか、女子生徒にブラジャーの着用を強制する校則を撤廃させるべく、ノーブラで登校して抗議する動きが広がりを見せている。じつは今、その波が学校だけでなく会社にも押し寄せている。
本来であれば、ほかの衣服と同じ「選択肢のひとつ」であるべきブラジャーだが、女性の胸が性的なものとして認識されている社会では、ブラジャーはもはや選択肢ではなく胸(乳首)を隠すために「必ず身につけなければならないもの」になってしまっている。たとえば、男性はネクタイを息苦しいと感じたら、外すという選択肢があるが、今の社会では女性が同じように場所に関係なくブラジャーを気軽に外すことはできない。その当たり前を変えるべく、ノーブラ改革を起こそうとブラジャーをつけずに出勤する女性が欧米で急増している。
米ロサンゼルス市内に実際にあるレストラン&バーで働く男女に焦点を当てた人気リアリティ番組『Vanderpump Rules(ヴァンダーパンプ・ルールズ)』に出演するデイナ・キャサンも、職場にノーブラ改革を起こしたいと思っている1人。現在29歳のデイナは、26歳の時にブラジャーをつけるのをやめて以来、ノーブラ生活を続けている。
「もし同僚の男性がブラジャーをしなくていいなら、私だってしなくていいはず」米new York Postのインタビューでこうキッパリと言い切ったデイナが、いわゆるOLとして会社勤めをしていた頃、仕事から家に戻って真っ先にしていたことは「ブラジャーを外すこと」だった。デイナのように、ブラジャーをすることをストレスに感じている女性は多く、日本でも働く女性の7割近くがブラジャーをすることを本音では「苦痛に感じている」という調査結果が出ている。苦痛に感じることが、ブラジャーをしたくない・しないということに直結するわけではないが、「しなくても弊害がないのであればしたくない」と思っている人が一定数いることもたしか。
もちろん女性がブラジャーをしないことに寛容な“ノーブラ先進国”である欧米諸国でも、同僚の男性が目にやり場に困るといった理由で会社からブラジャーの着用を促されたり、接客業の場合、お客さんから苦情がクレームがきたり、まだまだたくさんの課題が残っているノーブラ出勤。
しかし、1人が声を上げることでほかにも賛同する人が現れ、やがて社会全体を変えるほど大きな力になることもある。今年の国際女性デー(3月8日)のテーマも「平等のための1人」で、個人が力を合わせて男女平等を実現していこうと訴えている。ブラジャーをするもよし、しないもよし。そんな考え方が世の中に定着することを願って、今後も女性たちのノーブラ改革は続く。(フロントロウ編集部)