“偽グレタ氏”との会話で王室離脱を語る
イギリスのボリス・ジョンソン首相やトルコ共和国のレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領、シンガーのエルトン・ジョンといった政治家や著名人をも騙したことがある2人組ユーチューバー、ウラジミール・クズネトフとアレクセイ・ストリャロフが、自らを17歳のスウェーデン人環境活動家のグレタ・トゥーンベリ氏とその父だと偽り、ヘンリー王子と電話インタビューを行なった際に録音した音声をYouTubeで公開した。
英The Sunによると、2019年の大晦日と1月22日の2度に分けて行なわれたという、“なりすまし”との電話インタビューで、電話の相手がグレタ氏であるとすっかり信じ込んでいたヘンリー王子は、自らが下したロイヤルファミリーの高位王族を退くという大きな決断ついてこうコメント。
「正しい決断をすることは、ときに、簡単なことではありません。しかし、これ(王室からの離脱)は私の家族にとっては正しい決断でした。世界中には、私たちの家族を優先したいという考えに共感し尊重してくれる人が非常にたくさんいるはずです。一筋縄ではいかない決断ですが、私たちは新しい人生を始めます」
さらに、ロイヤルファミリーの主要なメンバーとして活動してきた、王子である自分と結婚した妻メーガン妃の苦労について、「王子や王女との結婚は、世間で考えられているものとはまったく違うことは確かです。さまざまなことが折り重なり、まるでパズルのように複雑なピースから構成されているもなのです」とも表現。
高位王族を引退した後の“普通の暮らし”は、より良いものになると思うかと尋ねられると、「ええ、もちろんです。ずっと良いものになると思います。お忘れかもしれませんが、私は10年間も軍隊に所属していました。だから、私は自分はほかの家族よりも普通だと信じたいですね」と自身はロイヤルファミリーとは少し毛色が違うことを強調した。
アンドルー王子の性的スキャンダルに言及
話題がロイヤルファミリーのほかのメンバーにうつったところで、グレタ氏の偽物は、性的人身取引で起訴され、勾留中に死亡した米富豪ジェフリー・エプスタイン被告との繫がりや、被告による斡旋で未成年と性行為をしたとの疑いがあるエリザベス女王の次男ヨーク公アンドルー王子を巡るスキャンダルについてもヘンリー王子に探りを入れた。
「その件に関しては、私が話すことは特にありません」と答えたヘンリー王子は、続けて、「彼がした事もしくは、しなかった事は、私と私の妻にはまったく関係のない事です。私たちは包括的に機能しており、コミュニティにフォーカスしています。つまり、私たちは、私のほかの家族とは完全に離れています」と、アンドルー王子を取り巻く問題については回答を避けた。
トランプ大統領への批判も
電話の相手が、気候変動マーチを先導するグレタ氏と彼女の父だと思い込んでいたヘンリー王子は、話題が環境問題に及ぶと、アメリカの石炭産業を支持するドナルド・トランプ大統領のスタンスを批判。
「世界はもう何年も前から転換期に差し掛かっています」としたうえで、「アメリカではドナルド・トランプ大統領が石炭産業を強く支持していますが、同産業が、気候変動や視界にすら入らない、考えもしないようなずっとずっと遠くの島国に及ぼしている悪影響を考えると、彼にも責任があると言えるでしょう」と発言したと、英Mirrorが伝えている。
環境活動家として知られ、これまでに世界のさまざまな地域で気候変動の影響とみられる自然災害に見舞われた被災地を訪れたというヘンリー王子は、具体策を講じず、気候変動問題を軽視する人々について、厳しく批判。
「彼らがやっていることは、私たちの未来を奪うだけでなく、実際に人々を死に追いやり、現地のコミュニティを全滅させる直接的な原因ともなっているということを彼らに気づかせるには、もはや物理的に揺さぶりをかけるしかないのかもしれません」。
さらに、「私は、この先、5年から10年の間に物事は変化していくだろうと確信していますが、5年も10年も待っていられません。だって、もしドナルド・トランプがアメリカ合衆国の大統領になれるなら、どんなことだって起こり得ますよね? 」とトランプ大統領への皮肉を交えながら、迅速な対応が必要だと語った。
別名「ヴォヴァン・アンド・レクサス(Vovan and Lexus)」とも呼ばれるこのユーチューバー2人組が公開した音声は、アニメ化されたヘンリー王子のイラストや会話に登場する人物たちのイラストが添えられたコメディタッチな映像として投稿された。
問題の動画はすでに取り下げられているようだが、ヘンリー王子の代理人やイギリス王室の広報は、この件に関して現時点ではコメントしていない。(フロントロウ編集部)