ラジー賞最多受賞は…
毎年、1年間で公開された映画の中から「最低」の作品を選ぶ皮肉たっぷりの映画祭ゴールデンラズベリー賞(通称ラジー賞)が、今年もついに発表された。昨年までは、映画の祭典米アカデミー賞の前夜に開催されることが恒例となっていたけれど、今年はアカデミー賞授賞式が例年よりも早く開催されたため、ラジー賞はこのタイミングでの発表となった。また、新型コロナウイルスへの懸念によって授賞式は中止。その代わりにYouTube配信が行なわれた。
今年も多くの映画がノミネートされたけれど、残念ながら「あの作品」が多くを受賞することに。それは、映画『キャッツ』。
VFXをふんだんに使用し、あのミュージカルの名作『キャッツ』を映画化したとあって、2019年の超話題作となっていたけれど、作品賞、助演男優賞(ジェームズ・コーデン)、助演女優賞(レベル・ウィルソン)、脚本賞、監督賞など、計6部門で受賞となってしまった。監督のトム・フーパーは、2011年に映画『英国王のスピーチ』でアカデミー賞作品賞を受賞しているため、アカデミー賞とラジー賞、両方を手にしたことのあるレアな監督のひとりとなる。ちなみに、フーパー監督のほかにラジー賞とアカデミー賞を受賞したことがあるのは、故マイケル・チミノ監督と、俳優のケヴィン・コスナーの2人だけ。
なんと『ジョーカー』がノミネート!
今年のラジー賞では、なんとも驚きの作品がノミネートされていた。それは、2019年から2020年にかけて開催された数多くの映画祭を席巻した『ジョーカー』。アカデミー賞でも作品賞や監督賞にノミネートされ、主演のホアキン・フェニックスは主演男優賞を受賞した今作だけれど、ラジー賞でも、少し納得してしまうような部門にノミネートされていた。
それは、「最低人命軽視と公共物破壊しまくり作品賞(Worst Reckless Disregard for Human Life & Public Property)」。
じつはこの部門は1998年に一度だけ設けられた部門だったのだけれど、今年、22年ぶりに復活した。『ジョーカー』の他には、『Dragged AcrossConcrete(原題)』、『ランボー ラスト・ブラッド』、『ハリウッド1969 シャロン・テートの亡霊』、『ヘルボーイ』がノミネートされていたこの部門での受賞作品は…。
『ランボー ラスト・ブラッド』。
シルヴェスター・スタローンが主演を続投した『ランボー』シリーズ5作品目は、「最低前日譚・リメイク・盗作・続編賞」も受賞する結果となってしまい、2020年の第40回ゴールデンラズベリー賞で、『キャット』に続く受賞数となった。(フロントロウ編集部)