大好評ドラマ『ウォッチメン』
2019年に放送が始まったドラマ『ウォッチメン』は、迫力のアクション、謎が散りばめられた巧妙なプロット、セクシャルな描写で、アメリカの社会問題を風刺し大好評を得ている。アメリカでの初回放送では150万人が視聴し、辛口批評家サイトRotten Tomatoesでは脅威の満足度97%を獲得するほどの人気ぶり。
2020年4月22日にデジタル先行配信が、ブルーレイ&DVDの発売とDVDレンタルが2020年6月3日に決定している本作は、2009年に公開された同タイトルの映画『ウォッチメン』とどう違う?
『ウォッチメン』とは?
『ウォッチメン』はもともと、1986年〜1987年にDCコミックスで出版されていたコミック。長く複雑なストーリーで、大人の読者が対象の漫画「グラフィックノベル」として、連載されていた。
『ウォッチメン』のコミックは、SF文学の最高峰ヒューゴー賞をコミックとして唯一受賞、コミックのアカデミー賞と言われるアイズナー賞を受賞するなど、輝かしい結果を残している。
『ウォッチメン』のテーマは、「実在の歴史の影にスーパーヒーローが実在したとしたら?」という“パラレルワールド”を舞台に展開する「歴史改変SF」。『ウォッチメン』のストーリーは、現実の歴史とリンクしているのが醍醐味の一つとなっている。
『ウォッチメン』の映画版とドラマ版の違いは?
映画版『ウォッチメン』
2009年に公開されたザック・スナイダー監督の映画『ウォッチメン』は、一部改変はありつつも、ほぼ原作コミックスに忠実な内容。
舞台は1985年の冷戦時代。冷戦が悪化し核戦争危機が目前に迫る中、ケネディ暗殺、ベトナム戦争、キューバ危機、アポロ11号月面着陸など、現実で起きた数々の歴史的事件にヒーローが関与していたといわれている世界を舞台にしている。
政府はヒーローたちの行き過ぎた暴力行為を危惧し、 条例によってヒーローの自警行為を禁止とした。 その後、「ミニッツメン」と呼ばれるヒーローの自警団メンバーだった “コメディアン”の殺害をきっかけに、巨大な陰謀に気づいたメンバーのロールシャッハが自警活動を続けながら、その真相に立ち向かう。
映画『ウォッチメン』には現実世界の有名人が多数登場している。例えば、ニクソン元米大統領、ケネディ元米大統領、キューバの政治家フィデル・カストロ、芸術家のアンディ・ウォーホル、アーティストのデビッド・ボウイ、同じくアーティストのミック・ジャガーなど。ちなみにこれらを演じているのは、もちろん本人ではなくそっくりさん。
ドラマ版『ウォッチメン』
対する2019年に放送されたドラマ版『ウォッチメン』は、原作コミック&映画から34年後を新たに描いた最新作。2019年の人種差別問題を背景に、原作コミックや映画に登場しないキャラクターの“シスターナイト”を主人公に話が繰り広げられている。
ドラマ版では、白人至上主義者に傾倒するテロ集団が、かつて大活躍したヒーロー“ロールシャッハ”の威光を正当化し、政権や警察を襲撃。さらに謎の組織の登場や消えたはずの元ヒーロー、オジマンディアスの陰謀が絡み合う。
ちなみにドラマの世界の2019年は、インターネットやスマホ、SNSのサービスは強制終了され、存在しないことになっている。これは、ソーシャルメディアでのユーザー同士の攻撃を回避するため。
難解なストーリーであるにもかかわらず、多くの観客を魅了しているドラマ『ウォッチメン』は2020年4月22日にデジタル先行配信。さらに、ブルーレイ&DVDの発売とDVDレンタルは2020年6月3日から。(フロントロウ編集部)