シャロン・ストーン、1990年代はミソジニー
1980年からハリウッドで活動し始め、1992年に公開された映画『氷の微笑』のキャサリン・トラメル役でセックスシンボルと言われてトップスターとなったシャロン・ストーンは、現在62歳。
今から2年前の2018年に大きなムーブメントとなった「MeToo」で、ハリウッドで働く女性たちが声をあげ、映画界で根深くはびこる女性差別がやっと気づかれるようになった。それより前のハリウッドで約30年にわたり生きてきたシャロン・ストーンが、ドイツ版Vogueで当時を振り返った。
「20年前は、それはそれはミソジニー(※)な時代でしたよ。私より3歳年上のメル・ギブソンは、私は彼の相手役には年を取り過ぎていると思っていましたから」
ミソジニーとは?
女性嫌悪と訳されることが多い。しかし、例え“女好き”と言われる男性であっても、“女性の体”が好きなだけで、女性のことを人としては軽視している場合も非常に多く、それもミソジニーにあたる。また、女性自身もミソジニーであることは少なくない。オックスフォード辞書では、「女性に対する嫌悪、軽視、根深い偏見」とされている。
自分より年下の女性を、自分の相手としては年寄りすぎると言うのはあまりに筋が通っていないけれど、男性のそのような意見はまかり通っていたという。事実、シャロンの代表作である1990年の『トータル・リコール』でシャロンの相手を務めたアーノルド・シュワルツェネッガーは、彼女よりも9歳年上。1992年の映画『氷の微笑』のマイケル・ダグラスは14歳年上である。
シャロンの話は果たして過去の話?
シャロンは他にも、自分のキャリア当初をこう振り返っている。
「モデルや俳優として働き始めた時、“ヤリたいと思える”という言葉は、現場やカメラの前で使いたいと思えるかどうか、というものとイコールでした。私は男らしく、アスリートっぽくて筋肉質だったので、セクシーではありませんでした。なので、違うように見られるために、『プレイボーイ』に半分ヌードの写真を撮られなければならなかったんです」
シャロンは過去のハリウッドを伝える話として、これらの体験談を語ったけれど、現在でも似たようなエピソードは、多くの女性俳優の口から語られている。シャロンと同じく、キャリア当初はセックスシンボルとして知名度をあげた俳優のスカーレット・ヨハンソンは、男性からの承認を得るために自分を偽り、演じていたと語っている。
また、殺人の容疑がかかるミステリアスな女性を演じた『氷の微笑』によって、自分がセックスシンボルとされたことについて、シャロンはこう話した。
「なにをセクシーかと思うのかって、クレイジーですよね。でも男性は、自分の感じるままに行動した性的加害者や犯罪者に感情移入するものなのでしょう。少なくとも、1990年代にはそうでした」
かなり厳しい目で、自分が生きてきたハリウッドを分析したシャロン。そんな彼女は去年2019年の米GQによるWoman of the Yearに選ばれた際に、「私たちは、自分で選んだどのような形のセクシャリティの中でも、パワフルでいられる権利があります。そして、誰もそれをあなたから奪うことはできない」と、これからの社会を切り開いていく若者たちにメッセージを送った。(フロントロウ編集部)