A24作品の小道具がオークションに！収益は全てコロナ対策に寄付、『ミッドサマー』など出品

映画業界のトップランナーA24

　A24は、2012年に設立されたニュヨークの映画会社。現在最も勢いのある映画会社だと言われており、設立から間もないにもかかわらず、映画『ムーンライト』、『エクス・マキナ』、『ミッドサマー』、『レディ・バード』、『荒野にて』、ドラマ『ユーフォリア』、『科学捜査のウソ』など、多数の名作を輩出し、計25回ものアカデミー賞ノミネートを果たしている。

　そんなA24は、世界中で猛威を振るう新型コロナウイルス（COVID-19）の流行を受け、自社映画の劇中で実際に使われた小道具を競売にかけ、その収益を新型コロナウイルス対策のために寄付すると発表。収益は全てアメリカの慈善団体に寄付される。

　A24は声明で「ニューヨーク市に設立され拠点を置く会社として、新型コロナウイルスの危機を乗り越えて再建を始めようとする市に恩返しをしたいと思っています」と述べ、「そのため、各オークションの収益は100％慈善団体に寄付し、ニューヨークで最も大きな打撃を受けたコミュニティと第一線の労働者を支援します」と宣言した。

　さらに、「私たちの映画の小道具、衣装、セットの部品の多くは、それ自体が芸術作品です。数週間、数か月、時には数年もかけて作られた末に誕生した、手作りのユニークな品です」と語り、今回出品された品物の価値の大きさを示した。

どの作品の商品が出品されるの？

　出品されるのは、日本公開済みの5作品と未公開の1作品のアイテム。

　まずは、2020年に日本でも公開され大きな話題を呼んだホラー映画『ミッドサマー』の小道具。「熊の着ぐるみ」や「女王のための花のガウン」などが出品されており、オークションは4月28日。同じアリ・アスター監督作品からは、2018年に公開され世界中を恐怖に陥れたホラー映画『ヘレディタリー/継承』から、「玄関マット」が出品されている。これらはどれも、映画の中で象徴的に使われたレア小道具。『ヘレディタリー/継承』の「玄関マット」は記事執筆時点で約55万円（5,000ドル）となっている。

　2019年に公開されたアダム・サンドラー主演のNetflixオリジナル映画『アンカット・ダイヤモンド』からは、「ダイヤのようなスワロフスキーで覆い尽くされたファービーのようなもの」や「バスケチームのユニフォーム」などが出品。こちらは、5月5日にオークションが始まる。

　また、同じく2019年に公開されたボー・バーナム監督の青春映画『エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ』は現在オークション開催中で、「主人公のタイムカプセル」は現在約16万円（1,525ドル）、「水中メガネ」は約5万円（1,525ドル）で競売中。

　HBOとA24がタッグを組み、ゼンデイヤが主役を務める衝撃のドラマ『ユーフォリア／EUPHORIA』からは、なんとゼンデイヤが着用した「あずき色のパーカー」がオークションに。主人公のお気に入りだというこのパーカーは現在66万円（6,000ドル）で競売中。また、本編で登場する黄色い板でピンク色のウィールの「スケートボード」は現在22万円（2,000ドル）で取引中。

　日本未公開の作品、映画『ザ・ライトハウス』からは、「灯台のライト」と「人魚の置物」が出品中。こちらのオークション開催日は5月12日。本作は、ロバート・パティンソンとウィレム・デフォーが主演のホラー作品で、全編モノクロで撮影されたことで有名。日本での公開は未定となっている。

　現在アメリカでは、新作を公開している映画館はフロリダ州のドライブイン・シアターの1館のみ。それ以外の劇場は、新型コロナウイルス流行の影響で閉鎖を余儀なくされている。この苦境を乗り切り、また新作映画を映画館で見られる日を迎えようと、A24は動き出した。（フロントロウ編集部）