美容系インスタグラマーが卑劣な呼びかけ
イスラム教を信仰する人が多い北アフリカの国モロッコで、インスタグラムのフォロワー数が約63万人の美容系インフルエンサーとして活動するソフィア・タッロニーが、ある衝撃的な呼びかけを行なった。トランスジェンダーであるソフィアは、インスタグラムライブを通して、見ていた人々に、ある方法を使って誰がゲイか特定しろと話した。
ここではやり方の記載は伏せるが、ソフィアはある方法を使えば周囲の誰が同性愛者であるか分かると説明。この時のインスタグラムライブは、少なくとも10万人が視聴していたことが確認されている。
ゲイを特定して拡散
モロッコでは、同性愛差別を取り締まる法律はなく、むしろ同性間で親密な行為をした人は捕まる可能性がある。そのため、「同性愛嫌悪の人々は、力を与えられているように感じているでしょう。法律が彼らの味方をしているのですから」と、国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウォッチのアーメド・ベンシェムジ氏は、米LGBTQ Nationに話す。
ベンシェムジ氏の分析はその通りで、ソフィアがこの動画を配信した後、ソフィアの発信したやり方を真似する人が増え、この方法を通して、同性愛者に対する罵倒や、殺害をほのめかす脅迫が投げかけられる事例が急増。さらには、同性愛者の写真を共有するフェイスブックの非公開グループページまでもが作られ拡散されるという、人権を無視したおぞましい状況に。ソフィアもまた、この方法で入手した同性愛者の写真を、インスタグラムライブでカメラに向かって見せていた。
モロッコに住む青年は、「ソフィアは、つまりはゲイの人々に対する戦争を宣言したんですよ」と、英Pink Newsに今の不安な気持ちを話す。
最悪の事件が起こってしまった
そして、ソフィアのこの行動が発端となり、自身がゲイであることが家族に知られて、家族に体罰を与えられたり、家を出て行かざるをえなくなったりする青年たちが確認されている。前述の青年が知っているだけで、少なくとも40人はそのような状況に陥っているという。
また、最悪なことに、自死した青年の存在も確認された。他にも、英Pink Newsが取材したゲイの人々のうち、ほとんどすべての人が友人・知人で自死した人がいると明かしており、確認されていない自殺者も含めるとその数はかなり多いことが予測される。
ソフィアのアカウントは、インスタグラムの運営側から削除された。そしてフェイスブックも、該当の非公開グループを削除している。しかしインターネットやスマホが関わる多くの事件で問題になるように、一旦写真を手に入れてしまったり、インターネットに拡散されたりすると、事態の収束が難しい。現在、モロッコを拠点とするLGBTQ+人権団体や国際的人権団体など、複数の団体が協力して、事件の対応を行なっている。
(フロントロウ編集部)
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