エル・ファニングの新作『The Great』
映画『マレフィセント』や『20センチュリー・ウーマン』などへの出演で知られる俳優のエル・ファニングは、最近では制作にも携わっており、主演を務めたHuluの新作ドラマ『The Great(ザ・グレート)』でも制作に携わった。
エルが実在したロシアの皇帝エカチェリーナ2世を演じた今作は、2019年に多くの賞を総なめにした映画『女王陛下のお気に入り』で脚本を手掛けたトニー・マクナマラによる歴史フィクション。動画配信サービスでの作品ということもあって多くのベッドシーンが含まれており、エルだけでなく、劇中で彼女の夫を演じたニコラス・ホルトや、それぞれの愛人たちを演じた役者もベッドシーンを経験した。
インティマシー・コーディネーターを起用
俳優としてだけでなく、制作陣の1人として撮影についてトニーとコミュニケーションを取っていたというエル。そこで彼女は、ある人に撮影の時にいてもらうことにしたそう。それは、「セックスシーン専門のコーディネーター」。
英語ではインティマシー・コーディネーター(Intimacy Coordinator)と呼ばれる撮影スタッフは、人がいるなかでキスシーンやベッドシーンなどの親密な撮影に臨む俳優をサポートする人物。数年前から存在する職業だけれど、2017年にハリウッドで起こり、世界中の女性がセクハラ被害に対して声をあげるきっかけとなったMeTooムーブメントを機に、より多くの撮影現場でインティマシー・コーディネーターが起用されるようになった。
仕事といえど、そこで働く俳優をサポートするのは制作陣の仕事のうちの1つ。エル自身、これまでインティマシー・コーディネーターがいる現場を経験したことはなかったそうで、今作で初めてその安心感を味わったと米ETに語った。
「(セックスは)トニーと私が頻繁に話したトピックなの、当然だけど。このドラマではセックスが重要だからね。そして、私たちはみんなに安心してほしかった。そこで、ベッドシーンがある時にはいつでもインティマシー・コーディネーターに現場にいてもらって、みんながちゃんと安心して、そして映像が現実的に見えるようにしてもらった。私はこれまで彼らみたいな人と働いたことがなかったんだけど、いてくれて良かった」
ベッドシーンの撮影に声をあげる女性俳優たち
ここ数年で、ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』のエミリア・クラークや、『ワン・トゥリー・ヒル』のソフィア・ブッシュなど、多くの女性俳優たちがベッドシーンやヌードでの撮影について声をあげている。
俳優としてのキャリアを持ち、自身の初監督作品『Booksmart(原題)』が高い評価を受けたオリヴィア・ワイルドは、ベッドシーンでの撮影では女性俳優たちのために、セットには必要最低限のスタッフだけの入室を許可し、裸でいる間の撮影はセキュリティも強化したという。そんなオリヴィアは出演者たちに、「撮影現場では次から、今日私があなたたちにしたレベルのことを要求してね」と話したそうで、ベッドシーンなどの撮影には“新しい標準”が必要だという姿勢を見せていた。
(フロントロウ編集部)