インディペンデント映画が首位独走
アメリカの映画ランキングに予想外の結果が発生している。アメリカには約5,400の映画館があるけれど、現在オープンしているのはそのうち348館。そして、その約半分である169館はドライブスルーの劇場となっている。
2020年5月といえば、全米では『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』や『ブラック・ウィドウ』などの公開が予定されていたけれど、新型コロナウイルスの影響で延期に。そこで、映画ランキングに思わぬ展開が起こっている。
なんと、あるインディペンデント映画が首位を独走中!
思わぬ注目を浴びることとなった映画『The Wretched(原題)』は、ブルット・ピアスとドリュー・ピアス兄弟が制作したホラー映画。森に眠っていた悪魔が、ある家に住む家族を狂わせていく。その家の近所に住むティーンエイジャーで主人公のベンはその存在に気がつき、対峙することに…。
ドライブスルー映画館の影響が大きい
低予算映画のインディペンデント映画である本作は、なんとここ3週間ずっとアメリカの映画ランキングで1位に。当初は15程度の映画館で公開される予定だった本作は、新型コロナウイルスの影響を受けて、ドライブスルー映画館での公開に切り替え。今作のヒットは、パンデミックによってドライブスルー映画館での興行収入が全体のランキングに大きな影響を与える状況となっている中で行なったその戦略が功を奏したと考えられている。監督のブルットは、米Entertainment Weeklyに今の気持ちをこう語った。
「本当に衝撃の出来事ですし、クレイジーですよね。これはミシガン州からの小さな映画です。大志は抱いてきましたが、インディペンデント映画は、少しの映画館で1週間ぐらい公開されて、10人ぐらいが見るものです。ほとんどの人は配信サービスでいつか見るというかんじでしょう。でもこれは、毎週(公開の)規模が大きくなっていって、ただただ私達は信じられませんよ」
とはいえ、その興行収入は5月1日から現在までで、約6,000万円。超大作のそれと比べてしまえば少額だけれど、インディペンデント映画がここまでの成績を残すことはかなり稀。アメリカでデジタル市場の分析を行なうコムスコアのメディアアナリストは、米Varietyにその分析を明かした。
「ホラー映画、大きなスクリーン、一緒に経験すること、これら3点の相性は最高です。だから映画ファンは、家に映画の選択肢が数多くありながら、外でのエンターテイメントを欲しているサポーターたちに『The Wretched』を届け、新型コロナウイルスの時期に劇場という展開モデルにこだわる(配給会社の)IFCを支持しているのです」
(フロントロウ編集部)