3ヵ月で複数人の黒人が白人警官に殺された
アメリカで2月に25歳のアマード・アーベリーが、3月には26歳のブリアンナ・テイラーが、そして5月には38歳のトニー・マックデイドと46歳のジョージ・フロイドが、元警察官や現役の警察官によって殺された。彼らの共通点は、黒人であること。
ジョギング中に元警察官の白人の父と息子に射殺されたアマード・アーベリー。
デトロイトでのデモでジョージ・フロイドの写真を掲げる参加者。
とくに、フロイド氏が白人警官に脚で首を約9分間も押さえつけられるなか、「息ができない」と訴える様子を映した動画はインターネット上で拡散され、歴史的に奴隷とされて差別を受けてきた黒人コミュニティの怒りが爆発。2020年になっても改善しない人種差別に、多くの人々が声をあげている。
企業もBlack Lives Matter支持を表明
黒人コミュニティが声をあげるのは初めてではない。例えば2014年にも黒人男性が警察に首を絞められ死亡し、各地で大規模なデモが発生した。しかし男性を殺した警察官は不起訴になっている。そんななかでは、変化を求める声を、影響力のある企業が支持する姿勢を見せることも重要。ジョージ氏の死をきっかけとした大規模な抗議運動が発生するなか、多くの企業が# Black Lives Matter(黒人の命も大切)ムーブメントを支持する姿勢を見せており、黒人コミュニティへ向けて声明を発表。さらに、SNSの公式アカウントを黒くしたり、名前を変えたりしている。
ツイッター
本家のツイッターアカウントは、青い鳥やヘッダーを真っ黒にし、紹介文のところに「BlackLives Matter」とだけ書き、ムーブメントを支持。また“Twitter Together”アカウントも、同様の対処を取っており、ムーブメントに関わる様々な情報を発信している。
YouTube
YouTubeもまた、公式アカウントを真っ黒にし、さらに、社会的な差別に対抗するため、約1億円の寄付を行なうことを発表した。
「私達は、人種差別と暴力に対抗する人々とともに立ち上がります。コミュニティのメンバーが傷ついた時は、私達全員が傷ついているということです。私達は社会的な不当行為に対処するため、100万ドル(約1億円)を寄付します」
HBO
アカウント名の最後に「Black Lives Matter」をつけ加えるアカウントは多いけれど、これまで、ドラマ『ゲーム・オブ・スローンズ』や『セックス・アンド・ザ・シティ』、『チェルノブイリ』などを制作してきた放送局HBOは、そのアカウント名自体を「Black Lives Matter」に変更。
「『愛やテロが人を盲目にするわけではない。無関心が人を盲目にさせるのだ』ジェームズ・ボールドウィン
私達は、黒人の同僚、従業員、ファン、俳優、制作陣とともにあります。無分別な暴力に全員が傷ついています」
Sound Cloud
HBOと同様の変更は、ドイツ発の音楽共有サービスSound Cloudも行なった。
「私達は黙らない。
アメリカで毎日起こっている不正行為や人種差別に怒り、悲しむ黒人コミュニティとともに私達はあります。私達は共に立ち上がり、変化のために声を合わせていかなくてはいけません」
ワーナー・ブラサース
「『誰かが声をあげなくてはいけない、他の人々が座っているのなら。誰かが話さなくてはいけない、他の人々が黙っているのなら』ブライアン・スティーヴンソン
私達は、黒人の同僚、才能、制作陣、ファンとともにあります。無分別な暴力に全員が傷ついています。あなたの声が大切です。あなたのメッセージが大切なのです」
マーベル・エンターテイメント
— Marvel Entertainment (@Marvel) May 31, 2020
「私達は人種差別に反対します。多様性受け入れのために立ち上がります。黒人の従業員仲間、制作陣、クリエイター、そして黒人コミュニティすべてとともにあります。私達は集結し、声をあげなければいけません」
Netflix
To be silent is to be complicit.
— Netflix (@netflix) May 30, 2020
Black lives matter.
We have a platform, and we have a duty to our Black members, employees, creators and talent to speak up.
「黙っていることは、共犯だ。Black Lives Matter
私達にはプラットフォームがある。そして私達には、黒人メンバー、従業員、クリエイター、才能のために声をあげる義務がある」
歴史的に1950年代から60年代にかけて、キング牧師として有名なマーティン・ルーサー・キング氏やマルコム・X氏などが率いた黒人解放運動である公民権運動があった。それから70年が経った今、いまだに白人によって黒人が殺されている。
アメリカのMapping Police Violenceによると、2019年に警察によって殺された黒人は約264人。アメリカの黒人の比率が13%のなか、警察に殺害された割合は約24%と非常に高い数字が続いている。(フロントロウ編集部)