ダラス警察が違反行為の動画を募る
アメリカ・ミネソタ州で偽造紙幣を使用した疑いで警察に通報され、駆けつけた白人警官によって路上で約9分間も首元を膝で圧迫され続けたことにより殺害されたアフリカ系アメリカ人男性ジョージ・フロイド。その様子を通行人が撮影した動画がFacebookにアップされると瞬く間にSNSで拡散され、その動画が引き金となり、それまで抑圧されてきた黒人コミュニティと、彼らを支持する人々が、連日アメリカ各所で抗議運動を繰り広げている。
平和的なデモが行なわれるなか、一部では抗議デモが過激になり、店舗を破壊し、略奪行為を行なう人が出現。この緊急事態を受け、アメリカ・ダラスの警察が、ツイッターで「抗議活動による違法行為のビデオがあり、それをダラス警察にシェアしたい場合、iWatchダラス・アプリというアプリをダウンロードしたら匿名で共有できます」と、器物破損などの違反動画があったらシェアしてほしいとお願い。
If you have video of illegal activity from the protests and are trying to share it with @DallasPD, you can download it to our iWatch Dallas app. You can remain anonymous. @ChiefHallDPD @CityOfDallas
— Dallas Police Dept (@DallasPD) May 31, 2020
しかしその後、最初のお願いから24時間経たずして「技術的な問題により、iWatchダラス・アプリは一時的に停止しています」と再度ツイッターで報告し、サーバーダウンが起きたことを発表した。
Due to technical difficulties iWatch Dallas app will be down temporarily. pic.twitter.com/zksA1hkVhV
— Dallas Police Dept (@DallasPD) May 31, 2020
なぜサーバーダウンが引き起こったのかは明かされていないけれど、一部では、iWatchダラス・アプリに送られてきたのは、違反動画ではなく、なんとK-POPアーティストのファンたちがコンサートや音楽番組の収録風景を撮影した「ファンカム」と呼ばれる動画が殺到したことが原因ではないかと言われている。実際にアプリだけではなく、ダラス警察が違反行為の動画を呼びかけたツイートのコメント欄にも、たくさんの「ファンカム」が投稿されている。
一体なぜ「ファンカム」ばかりアップされるという事態に陥っているのか?
アメリカ警察に対する反発が込められている
今回、違反行為の通報を求めたアメリカの警察にK-POPのファンカムが大量に送られているのは、警察への反発と、デモへの支持を表明することが目的と見られている。
アメリカでは、今回白人警察によって殺されたジョージ・フロイド以外にも、白人警察によって殺され、白人だからといって警察に守られた人が大勢いる。例えばケンタキー州に住む救命士として働いていたブ リオナ・テイラーという黒人女性は、白人警官に8発もの銃弾を撃ちこまれたり、黒人のアマード・アーベリーは、ジョギング中に白人親子に射殺されるも、白人親子を数ヵ月、逮捕されないまま放置されたりと、黒人コミュニティは社会を守る存在である警察に幾度となく裏切られてきた。
アマード・アーベリー。
そんな状況の中、国内 外のデモ支持者がアメリカ警察の捜査 をかく乱するためにK-POPのファンカムを大量に投稿。一風変わった方法でデモ参加者に援護射撃をしてデモへの支持と警察への抗議を表明している。(フロントロウ編集部)