『スター・ウォーズ』ファンにとっては聖地であるルーカスフィルムの本拠地にある「ヨ―ダ」の像に何者かが落書き。しかし、ファンの間ではどちらかというと好評となっている。(フロントロウ編集部)

『スター・ウォーズ』、ヨーダの像に落書き

 米カリフォルニア州サンフランシスコにあるルーカスフィルムのオフィス敷地内にある映画『スター・ウォーズ』シリーズの名物キャラクター「ヨ―ダ」の像に何者かが落書きをしていたことがわかった。

 落書きをされてしまったのは、映画部門やゲーム部門が入る、ファンにとっては“聖地”の1つと呼ばれるオフィスの中庭にある噴水の上に鎮座しているヨーダの像。

 ルーカスフィルムは、“あるメッセージ”が書かれたヨ―ダの像の姿を撮影した写真を公式インスタグラムで公開した。

 「撮影者不明」というクレジットとともに公開された写真では、ご覧のとおり、ヨ―ダ像の台座の下の噴水の一部に、黄緑色のチョークで書かれたものとみられる「MATTER BLACK LIVES DO(マター・ブラック・ライヴズ・ドゥー)」という文字が確認できる。

 お気づきの人も多いと思うが、これは、全米および世界各国で広まっている、黒人に対する人種差別に抗議するデモのスローガンである「Black Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター/黒人の命には価値がある)」を“ヨ―ダ語”にアレンジしたもの。

画像: 6月3日に行なわれたイギリス・ロンドンでのデモで外務・英連邦省の建物の窓枠に腰掛け「Black Lives Matter」のプラカードを掲げる黒人の少年。

6月3日に行なわれたイギリス・ロンドンでのデモで外務・英連邦省の建物の窓枠に腰掛け「Black Lives Matter」のプラカードを掲げる黒人の少年。

 ヨ―ダ語は、基本的に、動詞が先にくる「倒置法」を使っていることで知られるが、この落書きの場合は、最後に強調の意味を持つ「Do」がついており、一般的な英語表現に直すと「Black Lives Do Matter(ブラック・ライヴズ・ドゥー・マター)」、日本語に訳すと「黒人の命ももちろん価値がある)」という意味になる。

 この落書きに対して決して憤っているようには見えず、むしろ、この投稿を通じて人種差別抗議運動への賛同を示したようにも受け取れるルーカスフィルムに対し、多くのファンたちもヨ―ダ語風に「器物破損だ、これは」とコメントしたり、「器物破損には違いないけど、良いメッセージだね」、「ヨ―ダのフォースのゴーストがこれを書いたのかもしれない」とユーモア溢れる反応を見せている。


過去の「人種差別的ポスター」に再び注目

 ルーカスフィルムが公開した落書きされたヨ―ダ像の投稿には、記事執筆時点で5万9千件近い「いいね」がついているが、その反面、デモに反対しているファンたちからは「やりすぎ」、「ヨ―ダは関係ないだろう」、「これは違うんじゃない」という冷ややかな意見も。

 さらに、2015年に『スター・ウォーズ/フォースの覚醒』が公開された際、欧米版や日本版のポスターでは、黒人俳優のジョン・ボイエガ演じるフィンがメインキャストらしく大きく表示されていたのに対し、中国版では、かなり小さい扱いになっていたことで、「人種差別的だ」と物議を醸した騒動を持ち出して、もしこの落書きがルーカスフィルムによって仕組まれたものだったとしたら、そして、人種差別に本気で立ち向かう意思があるのなら、行動を正すべきだと指摘する意見も。

画像: 左が北米版のポスター、右が中国版のポスター。中国版ではジョンが小さく表示されているだけでなく、なぜかチューバッカが削除されている。

左が北米版のポスター、右が中国版のポスター。中国版ではジョンが小さく表示されているだけでなく、なぜかチューバッカが削除されている。

 まだまだ白人のキャストのほうが優勢となっているシリーズに対し、「だったら、もっと黒人のジェダイを増やすべきなんじゃない? 」と変化を求める声もある。

 2012年以降、ルーカスフィルムを傘下に置いたウォルト・ディズニー・スタジオは、「Black Lives Matter」への賛同を示しており、NAACP (全米黒人地位向上協会)への200万ドル(約2.1億円)をはじめ、社会正義を実現しようと活動を行なっている複数の非営利団体に総額で500万ドル(約5.4億円)の寄付を行なっている。

 『スター・ウォーズ』シリーズからは、ジョンがロンドンで行なわれた抗議デモの最前線で「教科書に載ってもおかしくない」と評価されるほどの熱いスピーチを披露。

画像: 過去の「人種差別的ポスター」に再び注目

 ルーカスフィルムは、このジョンのキャリアをかけたスピーチに対して、「ルーカスフィルムはジョン・ボイエガと彼の『今こそその時だ、黒人の命には、これまでだってずっと価値があった。僕たちはいつだって重要な存在だった。無意味なんかじゃなかった』というメッセージを支持します。人種差別という悪は終わらせなければいけません。私たちは世界においてずっと先延ばしになっていた変化の一部となることを約束します。ジョン・ボイエガ、あなたは私たちのヒーローです」とコメントを出して全面的にサポート]

 さらにシリーズ第1作目からルーク・スカイウォーカーを演じる俳優のマーク・ハミルもジョンへの支持を表明している。(フロントロウ編集部)

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