13歳の人気子役が「黒人差別」の実情を明かす
ドラマ『グッドガールズ:崖っぷちの女たち』でルビーの愛娘サラを演じるリディア・ジュエット(13)が、現在、アメリカ国内で黒人に対する人種差別の撲滅を訴え、警察による行き過ぎた暴力の行使に抗議するデモ「Black Lives Matter/ブラック・ライヴズ・マター(黒人の命にも価値がある)」が活発化していることをうけて、自身がこれまでに経験した差別やBlack Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター)への思いをインスタグラムで語った。
以下、リディアがインスタグラムに投稿した長文メッセージの全訳。
「これらは私の身に起きた話。
初めて“Nワード(※)”で呼ばれたのは10歳の時のことで、相手は白人の男性だった。映画の撮影で訪れたアトランタのレストランでの出来事だった。この男性は私に対して『教会で爆破事故に巻き込まれた少女みたいだ』と言うと、続けて私の居場所はここではなくセルマ(※※)だと言い放った。
※黒人の蔑称。
※※アメリカ南部のアラバマ州にある黒人の多く住む町で、1965年に「血の日曜日事件」が起こった場所でもある。映画の撮影現場で少なくとも2人以上のヘアスタイリストが私の髪の毛を見るなり大きなため息をつき、そばにいた別のヘアスタイリストに向かって(目をぐるっと回して)あきれたような表情を見せる場面を目撃したことがある。彼らは私が何も見ていないし、聞いていないと思っているみたいだけどそれは大間違い。
あと、以前、撮影現場で衣装やアクセサリーを渡された時に、『あなたの肌の色にあった衣装や小物を身につけて欲しいそうよ』って言われたけど、(渡された衣装は)私の肌の色とはまったく異なるものだった。
次に“Nワード”で呼ばれたのも10歳の時だった。バスの後部座席に座るように言われた。
店に行くと、いつも私の近くに警備員がいる。彼らから見えるように、手は外に出しておけと言われた。あと、何かを拾ったり、ポケットの近くに手を置いたりしてはいけないと注意された。私がいた店で、店内のスピーカーからセキュリティチェックを行なうというアナウンスが流れてきた。(それを聞いて)外の世界で、自分が目をつけられる存在であることを知った。
10歳の時に二度も見知らぬ人から黒人の蔑称である「Nワード」で呼ばれたことや、撮影現場でも自覚なき差別が当たり前のようにあること、さらに黒人=犯罪を犯す危険性があるというステレオタイプによって、自由に買い物をすることすら許されないことなど、これまでに数々の差別を受けたことを明かしたリディアは、最後にこう綴った。
何かを盗もうと思ったことなんて一度もない。買いたいものがあれば、ちゃんとお金を払う。私の肌の色にマッチした“肌色のアイテム”が用意されるべきだし、私の髪の毛に触れる人にちゃんと敬意を払ってもらう権利はある。それから、誰かに“Nワード”で呼ばれる筋合いはないし、盗みを働くんじゃないかと疑われることなく、落ち着いて買い物をする権利が私にもあるはず。
今言ったすべてのことに私は値する。だってこれらはとても重要なことだから。私自身が大事な存在だから。ブラック・ライヴズ・マター(黒人の命にも価値がある)。
まだ13歳のリディアが、すでにこれほどたくさんの差別を受けてきたことが、人種差別問題の根深さを物語っている。今、アメリカでは、人種差別撤廃を求めて未だかつてないほど大規模な抗議運動が各地で行われているが、本当の意味で変革の時がやってくるのはいつになるのか。(フロントロウ編集部)