コロナ禍でレーベルは発売延期を決定…
世界的なパンデミックの中、ロックダウン前にアルバムリリースの準備ができていなかったアーティストの新作リリースは次々と延期になっている。そしてケラーニもその1人だった。
当初は25歳の誕生日である4月24日にセカンドアルバム『イット・ワズ・グッド・アンティル・イット・ワズント』を発表するはずだったけれど、ジャケット写真やミュージックビデオの撮影を始めようとしていた矢先にロックダウンが発生。レーベルから、「このプロジェクトを誇りに思うしバックアアップしたいと思っている。しかしビデオ撮影もできないなかでは、それができない」と言われ、リリース日未定での延期を告げられたという。
しかしその状況を、ケラーニの自由奔放さとクリエイティビティが変えた。
100%巣ごもりしたままアルバムをPR
自宅で巣ごもり生活を続けていたある夜、少し酔っていたというケラーニは、ラップトップで撮った自作の映像をアルバム収録曲「トクシック」のMVとしてYouTubeにアップ。すると、これが大きな話題に。すぐにレーベル関係者から連絡が来て、「自分で作ったこのホームメイド的な流れをこのまま進めてみたらどうかな」ということになったという。
その日から、ケラーニとフォトグラファー女性2人での巣ごもりPR活動がスタート。2人は一緒に自粛生活しながら、アルバムジャケットやミュージックビデオだけでなく、雑誌に展開する写真やプレス向けの素材まで、アルバムリリースに必要なPR用の素材をケラーニ宅のガレージで制作!1歳の娘がいるケラーニは、時には子供をひざの上に乗せてあやしながら、何時間もガレージに座って人生初の映像編集をしていたというからカッコよすぎる。
自宅のバスルームから米Vogueのメイクアップ動画に出演し、スキンケアやメイクテクを話しながらアルバムを宣伝。
そして、わからないことがあればネットで調べて、失敗するたびに調整を続けた2人の努力のたまもの、アルバム『イット・ワズ・グッド・アンティル・イット・ワズント』は5月8日にリリース。ケラーニは、外出制限のためエンターテイメントを求めていたファンに約3年ぶりとなるアルバムを届けた。
人生初の1位!ジャスティンらセレブも反応
ケラーニの“DIYなアルバムリリース”という新時代のやり方には、ファンも好反応。
YouTubeでは、セルフショットで撮影された「トクシック」のMVの再生回数は450万回、自宅の裏庭で撮られた「エブリバディ・ビジネス」のMVは280万回、自宅内で撮られた「F&MU」のMVは200万回、大自然の中で撮られた「オープン」は100万回を突破。アルバム『イット・ワズ・グッド・アンティル・イット・ワズント』はケラーニのキャリア最高位となる全米初登場2位となり、iTuneやApple Musicではキャリア初の総合1位を獲得した。
さらにアルバムは音楽仲間にも認められており、ジャスティン・ビーバーはアルバムを聴いていることをインスタグラム・ストーリーズで明かし、「ケラーニ、愛している」とラブコール。ホールジーは「ケラーニ、このアルバムはすべてマジでマジでイイ。将来的にはクラシックな作品として残るよ」とSNSで大絶賛した。
またツイッターでは、「Kehlani(ケラーニ)」という名前がワールドトレンドの1位を獲得。
大きなリアクションを受けたことに、ケラーニ自身は「ありがとうを言わせて!隔離生活の中、シングルもなし、外でのプロモーションもなし、予算のついたビデオもなし、番組やアピアランスもなし、サイン会もなしという状況の中、みんながこの作品を盛り上げてくれた。ありがとう」と、ツイッターで感無量の様子だった。
『イット・ワズ・グッド・アンティル・イット・ワズント』はどんなアルバム?
今作はR&Bアルバム
前作のデビューアルバム『スウィートセクシーサヴェージ』のポップなサウンドから進化して、今作『イット・ワズ・グッド・アンティル・イット・ワズント』では、R&Bアルバムを作ることにこだわったというケラーニ。
本人はYouTubeのライブ配信にてその理由を、「成熟な作品にしたかったし、自分が伝えたいストーリーを1つに絞ってわかりやすく伝えたかった」「今後、明るく幸せな経験をしたらまたアップテンポな曲が増えると思うけれど、今回(のアルバム)はそういう経験がもとじゃないの」と説明した。
元彼YGとの大恋愛がビッグテーマ
「悪くなるまでは良かった」という意味のアルバムタイトルが示すように、本作では、ケラーニが24歳だった2019年に経験した激動のロマンスと破局がビッグテーマになっている。その相手とは、ブレイク前から面識があり2019年に交際したラッパーのYG。急速にヒートアップした2人は、YGの浮気が原因で突然の破局を迎えた。
相手が有害(トクシック)だと分かっている「トクシック」や、そんな相手に身を投じてしまう「F&MU」や「ウォーター」、プライベートが世間で語られることについて歌った「エブリバディ・ビジネス」、交際相手を束縛したくない気持ちと浮気の心配のはざまで揺れる「オープン」など、「ミュージシャンの全ては実体験から来るものよ。どんな経験であれ、それが音楽に反映されるはず」とするケラーニらしく、1人の女性がロマンスを通して経験したことや感じていた気持ちが手にとるようにわかる。
本人のお気に入りソングは「グリーヴィング」
ケラーニがアルバム発売の直前に「アルバムで一番お気に入りの曲」としたのが、「グリーヴィング(feat. ジェームス・ブレイク)」。ロンドン発のシンガーソングライターであるジェイムス・ブレイクをフィーチャリングした曲では、うまくいっていなかった関係から去ったあとに、一つの関係が終わったことを「グリーヴする(深く悲しむ)」気持ちを歌っている。
ケラーニはアルバム発売日のライブ配信イベントで、この曲を聴くと「まったく別の次元に連れていかれる」と語った。
ケラーニが25歳になる前に経験した、女性としての成長を与えてくれたというロマンスを歌ったアルバム『イット・ワズ・グッド・アンティル・イット・ワズント』は日本でも配信中。
ケラーニ
『イット・ワズ・グッド・アンティル・イット・ワズント』
デジタル配信中
ダウンロード/ストリーミングはコチラ
収録曲
1. Toxic / トクシック
2. Can I (feat. Tory Lanez) / キャン・アイ(feat. Tory Lanez)
3. Bad News / バッド・ニュース
4. Real Hot Girl Skit / リアル・ホット・ガール・スキット
5. Water / ウォーター
6. Chang Your Life (feat Jhene Aiko) / チェンジ・ユア・ライフ(feat. Jhene Aiko)
7. Belong To The Streets Skit / ビロング・トゥ・ザ・ストリーツ・スキット
8. Everybody Business / エブリバディ・ビジネス
9. Hate The Club (feat. Masego) / ヘイト・ザ・クラブ(feat. Masego)
10. Serial Lover / シリアル・ラヴァ
11. F&MU / F&MU
12. Can You Blame Me (feat. Lucky Daye) / キャン・ユー・ブレイム・ミー(feat. Lucky Dave)
13. Grieving (feat. James Blake) / グリーヴィング(feat. ジェームス・ブレイク)
14. Open (Passionate) / オープン(Passionate)
15. Lexii’s Outro / レックシーズ・アウトロ
Photos: Official Photos, Kehlani/Instagram
※記事内で参照元の記載がない発言は公式プレスリリースからの発言です。
(フロントロウ 編集部)