ホラー・パニック映画ファンはパンデミック耐性アリ?
新型コロナウイルスの影響で、各地でパニック買いが発生したり、多くの人が外出自粛によってストレスを抱えたりするなか、ある研究結果が発表された。
ホラー映画やプレッパー映画(※)好きは、パンデミックに対する耐性が強い!
※プレッパーは、自然災害や戦争、経済の崩壊などに備えて行動している人のこと。プレッパー映画は、そのような終末的な世界を描く作品。パニック映画の一種。

映画『コンテイジョン』より。ⓒWARNER BROS. PICTURES / Album/Newscom
アメリカのシカゴ大学の心理学者コルタン・スクリヴナ氏や、デンマークのオーフス大学の心理学者マティアス・クレーセン氏らによる研究では、310名のボランティアに、好きな映画や視聴履歴を尋ね、その後に、新型コロナウイルスのパンデミックにどれだけ心の準備が出来ていたかを質問。さらに、不安や気分の塞ぎこみ、イライラや睡眠不足の経験について、段階ごとに回答してもらったそう。
すると、ホラー映画好きは他の人々に比べてストレスを感じているレベルが低く、パニック映画好きは、精神的にも行動的にも柔軟性があり、パンデミックに対してより準備が出来ていたという。
映画を通してリハーサルをしてきた
スクリヴナ氏は、映画が視聴者に与える影響について、英The Guardianのインタビューでこう分析する。
「もしそれが良く出来た映画であれば、観客を引き込み、キャラクターたちの視点から(物語の状況を)見るでしょう。つまり観客はそのストーリーを、無意識のうちにリハーサルしているのです。間接的に学んでいるのでしょうね。トイレットペーパー不足は例外としても、(それらの映画の)視聴者は何を買えば良いのか分かってるんです」
スクリヴナ氏が考える“よく出来た映画”とは、2011年にスティーブン・ソダーバーグ監督によって公開された、感染症の恐怖を描く映画『コンテイジョン』や、2017年にトレイ・エドワード・シュルツ監督が手掛けた、“得体の知れない何か”に怯える人々を描いた映画『イット・カムズ・アット・ナイト』などだという。

『イット・カムズ・アット・ナイト』ⓒANIMAL KINGDOM/A24 / Album/Newscom
映画鑑賞で疑似体型が出来る
『コンテイジョン』の一部のシーンに関してスクリヴナ氏は、「抗マラリア薬に起こっていることに似ています。あのような状況の中では、いつでも奇跡の薬を謳う人々がいるのです。そこから学べることは、疑いを持ってみるべきだということです」と、9年前に制作された作品と、現在の類似点を指摘する。
また、『イット・カムズ・アット・ナイト』については、「脅威に対するパラノイア(疑心暗鬼)は、その原因となった物事よりもさらに深い悲しみを生み出すことがあるということです」と話し、世界的に混乱が続くなかでも、不安に心をさいなまれないようにと話した。
映画で疑似体験をすることの効用を研究したスクリヴナ氏は、もちろんパニック映画を見ることに好意的で、「一晩だけ悪夢を見れば、パンデミックが世界を襲った時にどんな感じになるのか学ぶことができます。誰かに 追いかけられたらこうしようと考えるというよりは、あとで使える知識を増やしているんですよ。自分が意識していなくてもね」と話した。(フロントロウ編集部)