『オールド・ガード』のキキ・レインが、ハリウッドにおける“表現”の問題について語った。(フロントロウ編集部)

Netflixでヒット中の『オールド・ガード』

 2019年に公開され、批評家から高い評価を得た映画『ビール・ストリートの恋人たち』で主役を務めたことで、一躍有名俳優となったキキ・レインが、Netflix映画『オールド・ガード』に出演した。

 本作の主役は、シャーリーズ・セロン演じるアンディ。不死身の傭兵たちからなる特殊部隊「オールド・ガード」は、何世紀にもわたって人類を陰から守り続けてきた。しかしその能力を狙う巨大企業に狙われ、オールド・ガードとの戦いが始まる…。

キキ・レイン、ハリウッドは世界を表現していない

 そんなアンディに能力を見込まれて仲間となったのが、キキが演じたナイル。欧米のNetflixといえば、これまでもしっかりと作り込んだ作品を発表してきたことで高い評価と人気を得ているけれど、『オールド・ガード』もそういった点から高い評価を得ている。アクション映画というジャンルの中で、レプリゼンテーション(※)をしっかりしたことで、本当に誰もが楽しめる普遍的に面白いストーリーに仕上がった。

レプリゼンテーションとは?
表現/代表といった意味。
多くの物語のなかで、女性やLGBTQ+、黒人やアジア系などが描かれなかったり、ステレオタイプな描かれ方をしたりすることが問題となっている。例えば、ヒーローには男性が多い、アジア系はオタクのように描かれがち、など。
しかし各キャラクターのレプリゼンテーション(表現)は視聴者の価値観にも影響を与えることから、近年では各作品でのレプリゼンテーションが見直されている。

 そんな本作に参加できたことには、キキも喜んだという。そのうえで、現在のハリウッドについて、英Wonderland Magazineのインタビューでこう語った。

画像: キキ・レイン、ハリウッドは世界を表現していない

「(レプリゼンテーションは)極めて重要です。レプリゼンテーションは現実の日々にも大きな違いを生みますから、メディアでどう人々が表現されているかを見るのは、総合的に重要ですよ。同じタイプの黒人だけが描かれているのを見てきた人が、実際に黒人に会ったらどうなると思いますか?その人たちは黒人がどのようなものかって、どう予想すると思いますか?だからこそ、それ(レプリゼンテーション)は重要なんです。とくに今、映像業界で起こっていることや、人々が声をあげていることを考えるとね。現実に黒人のヒーローや、強い女性がいないなんてことはないでしょう。ハリウッドはまったく代表的でないですよ。だって、『オールド・ガード』は2人の女性に率いられていて、女性監督がこの勢いのあるアクション映画を撮ったんですよ。ワォ、それってすごいって感じですよね。でもなぜ、それが大きな話題にならなくちゃいけないんでしょう?女性は毎日何かと闘っているし、軍隊にも女性はいるし、多くの素晴らしい女性監督がいます」

キキ・レイン、ハリウッドを一刀両断

 レプリゼンテーションがよくなされていることや、女性監督が手掛けたことに誇りを持ちながらも、そういった点がまだスタンダードにはなっておらず、評価される理由になっていることに対して疑問を口にしたキキは、ハリウッドをこう一刀両断する。

「ハリウッドは、世界を表現するには遅すぎる」

画像: キキ・レイン、ハリウッドを一刀両断

 とはいえ、一歩一歩を着実に積み上げていくことも大事。キキは続けて、「だからこそナイルを演じられたことには、もちろん深い愛を感じました。だって、若い黒人女性で、悪者をやっつけて世界を守るヒーローで、リーダーであることを描けたんですから」と、その喜びを言葉にした。

 本作は主演のシャーリーズが設立した制作会社で、『モンスター』や『JUNO/ジュノ』、『スキャンダル』を手掛けてきたDenver and Delilahによる14作目の作品。Netflixで7月10日より配信が開始された。(フロントロウ編集部)

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