恋人と自主隔離生活中のダヴ・キャメロン
新型コロナウイルスの感染拡大が止まらず、外出の制限や社会的距離の確保など、日常生活にも影響が出続けているなか、“コロナ疲れ”や“コロナ鬱”といった言葉が生まれているように、制限された生活の中で、新型コロナウイルスは精神面にも悪影響を及ぼしている。
現在、新型コロナウイルス感染防止のために恋人で俳優のトーマス・ドハーティと共に自主隔離生活を送っているダヴ・キャメロンは、恋人のトーマスがインタビュアーを務めた米Wonderland Magazineのインタビューの中で、メンタルヘルスの重要性について語った。
トーマスから、自主隔離生活が及ぼしている精神面への影響について質問されると、「アップダウンを繰り返しているような感じ。毎日変化があるの」とダヴ。「今は家で“無事”に過ごせていることを幸福だと思うべきだと私は思う。家に“閉じ込められている”のではなくね。一つの場所にいなくてはいけないことについて、文句を言うつもりはない。だって、一つの場所にいられることってすごく幸福なことだし、必要なものも揃っているんだから」と、留まれる場所があることには感謝しているとしながらも、「メンタルヘルスや不安な気持ちの面では、すごく奇妙な期間だと思う」とした上で、精神面での苦労については次のように続けた。
「欧米における早いペースの生活様式は、自分たちが向き合いたくないものに向き合わずに過ごすためのメカニズム的なところがあるんじゃないかって思ってる。それに対処するためのメカニズムではないとしても、助けにはなっていると思う。そのことに無自覚だったとしてもね」とダヴは語り、新型コロナウイルス禍で普段の日常生活が送れていない分、時間が空いたことで人々がメンタルヘルスと向き合わなければいけないようになったと指摘。
「そういうわけで、自分自身以外に向き合うものが何もないようなこんな時期は、特に消耗してしまうんだと思う。ほら、あなたも私も、最高の状態じゃない夜があるでしょ? 気を逸らしてくれるものが何もないせいで、たくさんのことが頭によぎるから」と続けて語り、手持ち無沙汰になってしまっていることこそが、精神面に悪影響が出てしまっている理由だと説明した。
世の中におけるメンタルヘルスの受容のされ方に警鐘
メンタルヘルスが以前よりも話題にのぼるようになり、メンタルヘルスに対する理解が進みつつある現代だけれど、ダヴは現状のままでは不十分だと考えているようで、「この前、世の中がどれだけ、メンタルヘルスを中心に回っていないかってことについて考えていたの」とダヴ。
「みんな喜んでメンタルヘルスを話題にして、それがいかに大切で、自分を第一にするべきだっていうことを話すけど、仕事の締め切りみたいなことが迫ってきた時に、『ああ、ごめんなさい、1日遅れるかも。今、ちょっと悩んでいて、感情の調子がよくないの』って伝えたところで、『まったく、タフになってよ!そんなのは通用しないよ』って言われてしまうわけでね」と続けて語り、表面上はメンタルヘルスにオープンである姿勢を示しつつも、いざという時には「強くなって」という“精神論”で片づけられ、取り合ってもらえない現状を指摘。
ダヴはさらに、「別の日に、違う理由として、『憂鬱な気分なの。心ここにあらずと言う感じで、爆発しそうなの』とでも伝えれば、『あら、それは大変。そういうことについて話すのは重要だね!』なんて言われる。でもそれが、人生における何かの妨げになる場合は違う」と語り、メンタルヘルスの本質的な部分が理解されていない現状を嘆いた。
トーマスから「社会は人類のために作られていないようだね」と指摘されると、ダヴは「人類の健康のために作られていないことは確かね!」と応じた上で、「もはや(メンタルヘルスは)カルチャーの一部になっていて、メンタルヘルスに執着してすらいる。ポリティカルコレクト的(※)にメンタルヘルスにアプローチしているわけだけど、実際にはどんなアクションが取られている? 日常生活において、どう実を結んでいるんだろう? メンタルヘルスの問題を考えられるほどの余裕はある?」と、メンタルヘルスがカルチャーとして浸透してきてはいるものの、根本的な解決のための行動が起こされていないとして警鐘を鳴らした。
※政治的/社会的に中立な言葉や表現を心がけること。ダヴは、「メンタルヘルスについて“話す”のは一般的には正しい」から人々が声をあげているだけだと、皮肉として用いている。
トーマスが、新型コロナウイルス禍でメンタルヘルスに向き合えるようになった状況について、「僕らは毎年1月は休息をとったほうがいいかもしれないね」とダヴに提案すると、「本当にそう。メンタルヘルス月間みたいにね」とダヴは応じて、「ヒーリング月間みたいな感じで!」と続けて語り、一定期間は自分のメンタルヘルスに向き合う期間をとったほうがいいと提唱した。(フロントロウ編集部)