俳優キキ・レイン、立て続けに話題作に出演
Netflix映画『オールド・ガード』で、シャーリーズ・セロンとともにメインキャストを務めたキキ・レインは、オハイオ州出身の俳優。1991年生まれのキキにとって、2018年から2020年は大きく躍進した年になった。
2018年11月30日に全米公開された映画『ビール・ストリートの恋人たち』は、2016年に全米公開されアカデミー賞作品賞を受賞したバリー・ジェンキンス監督が手掛け、キキは300名以上の候補者の中から、主役ティッシュの座に。
続けてその数ヵ月後、2019年4月6日に全米公開した映画『ネイティブ・サン 〜アメリカの息子〜』にもメインキャストとして出演。これら2作品は、2020年に世界各国で発生した黒人の人権を叫ぶBlack Lives Matter(ブラック・ライヴズ・マター)運動において、社会における黒人差別を学べる作品としても評価されている。
そして2020年7月10日にNetflixで配信が開始された『オールド・ガード』は、公開から8日間ですでにNetflixオリジナル映画の歴代視聴数ランキングのトップ10に入っている。本作のメインキャラクターのナイルを演じたキキ。一気にトップスターとなった彼女は、黒人女性という立場から、ハリウッドを厳しい目で評価する。
「現実に黒人のヒーローや、強い女性がいないなんてことはないでしょう。ハリウッドはまったく代表的でないですよ。だって、『オールド・ガード』は2人の女性に率いられていて、女性監督がこの勢いのあるアクション映画を撮ったんですよ。ワォ、それってすごいって感じですよね。でもなぜ、それが大きな話題にならなくちゃいけないんでしょう?女性は毎日何かと闘っているし、軍隊にも女性はいるし、多くの素晴らしい女性監督がいます」
『オールド・ガード』の役作りとしてトレーニングを行なうキキ。
キキ・レイン、表現することの重要性
英Wonderland Magazineのインタビューでこう語るキキは、ゆえに社会の中ではレプリゼンテーション(※)が大事だと感じているという。
レプリゼンテーションとは?
表現/代表といった意味。
多くの物語のなかで、女性やLGBTQ+、黒人やアジア系などが描かれなかったり、ステレオタイプな描かれ方をしたりすることが問題となっている。例えば、ヒーローには男性が多い、アジア系はオタクのように描かれがち、など。
しかし各キャラクターのレプリゼンテーション(表現)は視聴者の価値観にも影響を与えることから、近年では各作品でのレプリゼンテーションが見直されている。
「(レプリゼンテーションは)極めて重要です。レプリゼンテーションは現実の日々にも大きな違いを生みますから、メディアでどう人々が表現されているかを見るのは、総合的に重要ですよ。同じタイプの黒人だけが描かれているのを見てきた人が、実際に黒人に会ったらどうなると思いますか?その人たちは黒人がどのようなものかって、どう予想すると思いますか?だからこそ、それ(レプリゼンテーション)は重要なんです」
キキ・レイン、俳優としてモデルを務めることの価値
だからこそ彼女は、ファッションの分野にも活躍の場を広げている。2019年にはケイト・スペード(KateSpade)のキャンペーンモデルを務めたキキは、10代の頃にモデルをしていた時期もあったという。しかし俳優としてモデリングに参加できることには大きな価値があると、米Harpers Bazaarのインタビューで語る。
「モデルとしてそこにいれば、それは服についてであって、あなたについてではない。(当時)自分が気にかけられていないと感じた時はもちろんあった。そして今現在ここに来て、私が俳優だと知っているブランドと仕事をするうえでは、自分自身を表現しなければならない。より大きな声を持てて、写真とブランドを通して私が伝えようとしていることにより大きな敬意を払ってもらえて、そしてファッションの一部になれることは良いよね」
ケイト・スペードの撮影では、髪をヘアバンドでまとめたまま臨みたいというキキの意思が尊重されたことに感動したそう。そんな彼女は、「(ファッションを通じて)私みたいな女性たちすべてを体現したい」と語るように、これまで出席してきたイベントでそのセンスを発揮したファッションを見せてきた。2019年のメットガラにはサンダルを履いていき、自身のスタイリストに本当に良いのかと確認されたそう。
また、2019年のLACMA Art+ Film Galaでは、大胆なヘアアレンジに鮮やかなグリーンのスパンコールドレスを合わせて登場。キキが出演し、現在ポストプロダクションに入っている映画『星の王子 ニューヨークへ行く』の続編『Coming 2 America(原題)』に合わせ、「女王。女神。ザムンダのプリンセス(笑)」とコメントした。
様々な分野で、黒人女性として自分自身を表現し、多くの女性をエンパワメントしているキキ・レイン。彼女の今後の活躍に注目。(フロントロウ編集部)