『ワイスピ』に欠かせないドムとブライアン
『ワイルド・スピード』シリーズは2001年から続く大人気カーアクション映画。日本のファンからは『ワイスピ』という愛称で親しまれ、既に公開されている8作品の累計興行収入は、5,400億円を突破している。
最新作にしてシリーズ9作目の『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』は、1月31日に予告編が公開されるやいなや、24時間で5億回の再生回数を突破。しかし残念ながら新型コロナウイルス流行の影響により、公開日が2020年5月から2021年に延期となった。
本シリーズの主人公は、ヴィン・ディーゼル演じる“ドム”ことドミニク・トレットと、ポール・ウォーカー演じるブライアン・オコナー。初めこそいがみあってはいたけれど、車を通じて心を通わせ、“ファミリー”となった。
しかし2013年、シリーズ7作目の『ワイルド・スピード SKY MISSION』の撮影終了直前に、ブライアン役のポールがプライベートで起きた自動車事故で亡くなるという悲劇が。あまりにも突然すぎる訃報は、共演者や映画のスタッフ、そして世界中のファンを驚かせ、悲しませた。
とはいえ、ブライアンは本作にとって今でも大切な存在で、大切な主人公の1人。変わることなく多くのファン、そして『ワイスピ』ファミリーから愛され続けている。
シリーズ1作目からの名物、ドムとブライアンのレース
そんなドムとブライアンは、映画『ワイルド・スピード』シリーズの中でレースをして仲を深めることが多かった。2人は親友とはいえど、その現実での関係性は複雑で、ドムは罪を犯した逃亡者、ブライアンは警察・FBIという、それを追う方の立場。そんな真逆の関係でも、レース中は対等な走り屋だった。
2人が初めて一戦を交えたのは、『ワイルド・スピード』1作目のストリートレース。市街を走り抜け、どちらが早かったかを競ったものの、ブライアンはエンジントラブルで敗北。その次の戦いでは、ロス市警のブライアンがドムを追いかけているときに並走し、ドラッグレースへと進展。ドラッグレースとは、直線の道で車を停止させた状態から急発進し、ゴールまでを競う戦いのことで、2人は勢いよくアクセルを踏み込み車を発進させたけれど、ドムが障害物にぶつかって勝負が中断されたため、勝敗はつかなかった。
その後、4作目の『ワイルド・スピード MAX』で久々の対決が。麻薬密売人の運び屋を選ぶための危険なレースに偶然居合わせた2人は、なんとその試合の中でも競い合う。負けず嫌いなブライアンは闘志を燃やすも、残念ながらこの回はドムの勝利。
5作目の『ワイルド・スピード MEGA MAX』では、100万ドルの分け前を賭けてドム&ブライアン、ローマン&ハンの戦いに。けれどもこの時ドムはある思いからブライアンを勝利させた。その後ブライアンはドムに真剣勝負を申し込むも、スクリーンには映し出されずに終わる。
そして6作目の『ワイルド・スピード EURO MISSION』は、ブライアンとドムが車で走行するカーレースさながらのシーンで幕開ける。実は2人は、生まれそうになっていたブライアンとミアの子供のもとに急行していた。この時は、ブライアンが先に目的地についた。
映画の中でドムとポールの勝負の様子が見られたのはそれが最後。結果としては、2勝2敗2分けの互角。しかし、ドムはブライアンにわざと負けたこともあるため、完全に互角とは言い切れないかもしれない。
そして、ブライアン演じるポールは『ワイルド・スピード SKY MISSION』の撮影中に、永遠にこの世から去った。映画の最後のシーンは、ドムとブライアンがまるでドラッグレースをするかのように直線の道を進み、そして別々の道に消えていく。何年も競争を続けてきた2人にとって、もはやどちらが勝利するかは重要なことではなくなっていたと言っているかのようだった。
ブライアン演じるポールはもうこの世にはいないけれど、彼の意思をついだファミリーが再び活躍を見せる最新作の『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』は、2021年に公開予定。(フロントロウ編集部)