アメリカのアレクサンドリア・オカシオ・コルテス議員が、男性議員に無礼な発言をされたことについてスピーチ。多くの女性が感じたことのある思いを代弁していると、大きな称賛が寄せられている。(フロントロウ編集部)

男性に侮辱的な言葉を使われた女性議員

 2018年にアメリカで史上最年少の下院議員となり、名前の頭文字を取ってAOCと呼ばれ、支持されるアレクサンドリア・オカシオ・コルテス議員が、自分には妻や娘がいるから女性差別者ではないと主張する男性に向けたスピーチが、大きな賛同を得ている。

画像: 男性に侮辱的な言葉を使われた女性議員

 事の発端は、共和党のテッド・ヨーホー議員がオカシオ・コルテス議員に対して、「むかつく(disgusting)」「頭がおかしい(you are out of your freaking mind)」と発言したこと。人に対して言うべきでない言葉を投げかけられたオカシオ・コルテス議員は、ヨーホー議員に対して「失礼です」と言ったという。しかしヨーホー議員はなんとその後、「ファッキン・ビッチ(fucking bitch)」と発言。放送禁止用語を用いたほどのヨーホー議員の侮辱発言を、現場にいた記者が聞いていたためニュースとなり、大問題となっていた。

 しかしヨーホー議員の事務所は、そのような事実はなかったと主張。その後、「45年結婚しており、2人の娘がいる私は、自分の(するべき)話し方を理解しています。記者によって私がしたとされている悪口は、同僚に向けたものではありません。もしそのように解釈されているのであれば、誤解について謝罪します」としたことで、自身の行為を認めず、責任を取っていないと、さらに批判の声が大きくなっていた。

男性同士がつるみ女性へ嫌がらせをする“文化”

 そんななか、オカシオ・コルテス議員が行なったスピーチに多くの賛同が寄せられている。彼女は、ヨーホー議員のような発言を、これまでの人生で多くの男性から投げかけられてきたと話し、男性同士がつるんで女性への嫌がらせを止めない文化があると指摘する。

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「ヨーホー議員の発言は、私にとっては深く傷つくものであったり、刺さったりするものではないと、明確にしておきたいと思います。なぜなら、私は労働者階級の仕事をしたことがあるからです。レストランでウェイターをしていたことがあります。電車に乗ったことがあります。ニューヨークの街を徒歩で歩いたことがあります。そのなかで、あのような発言は新しいものではありません。私はヨーホー氏からあのような言葉を投げかけられました。そしてレストランで嫌がらせをされた時に、ヨーホー氏と同じ言葉を他の男性たちから受けたことがあります。ヨーホー氏と同じ言葉を使った男性たちを、バーから追い出したこともあります。そしてニューヨークで地下鉄に乗っている時に、そのような嫌がらせに遭遇したことがあります。これは新しいことではない。そしてそれこそが問題なのです。

ヨーホー氏は1人ではありませんでした。彼は、ロジャー・ウィリアムズ議員と肩を並べて歩いていました。それこそが、私達がこの問題はただ1つの出来事ではないと見る理由です。これは文化的な話なのです。男性は責任を問われず、女性に対する暴力や暴力的な発言が受け入れられ、権力がそのすべてで男性を支援するという文化があるのです。共和党メンバーであり、選挙で選ばれた議員が私に無礼に話しかけたというだけの話ではなく、アメリカの大統領は去年私に対して「違う国へ帰れ」と、さも私がアメリカに属さないかのように話してきたこともありました。フロリダ州知事であるデサンティス知事は、私が当選する前に私のことを「あれがなんであろうと」と呼びました」

妻や娘がいるからまともな男性?

 プエルトリコ系アメリカ人の父とプエルトリコ出身の母を持ち、政治家になる前はレストランでウェイトレスとして働き、労働者階級出身の若手女性政治家として支持されるオカシオ・コルテス議員は、自身が過去に経験したことも語り、社会全体で女性蔑視が広く存在することを指摘。また彼女は、ヨーホー議員が妻や娘の存在を言い訳に使ったことに、苦言を呈した。

画像: 妻や娘がいるからまともな男性?

「ヨーホー氏は、彼には妻と2人の娘がいると話しました。私はヨーホー氏の1番下の娘よりも2歳年下です。そして私もまた、誰かの娘です。私の父は、運よく、存命ではないため、自身の娘をヨーホー氏がどう扱ったかを見なくてすみました。私の母は、ヨーホー氏が議員席で見せた私への無礼をテレビを通して見ることになりました。そして私は、自分が両親の娘であり、男性からの暴力を受け入れるようには育っていないと証明するためにここにいます。

ヨーホー氏が私に対して傷つけようとしてきたことは、私だけに対する出来事ではないと言うために、私はここにいます。あなたがあのようなことを女性に対してする時、ヨーホー氏がしたことは、他の男性に、自分の娘にも同じことをして良いと許可を与えたのです。プレスの前であのような言葉を使う時、彼は、自身の妻や娘たち、自身の知り合いの女性たちに対して同じような言葉を使って良いという許可を与えたのです。それは許容できるものでないと言うために、私はここにいます。あなたの考えは問題ではない。私がどれだけ反対しているかも、腹を立てているかも、人々が他人をどれだけ非道に扱っていると感じているかも関係ないのです。私自身はそのようなことをしません。そして私は、他人が私たちの心を変え、ヘイトを生み出そうとすることを許しません。

そして、娘を持つことが、男性をまともにするとは思いません。妻がいることで、まともな男性が作られるわけではありません。人に対して品格と敬意を持って接することが、まともな男性を作ります。まともな男性がなにかをしでかした時には、私たちすべてに言えることですが、まともな男性は全力を尽くし、そして謝罪するでしょう。面目を保つためではなく、選挙に勝つためでもなく、純粋に、自分がつけた傷を治し、認め、全員で前へ進めるように。

最後に、ヨーホー氏には感謝したいと思います。権力がある男性であっても、女性に対して無礼になれるということを世界に示していただいてありがとうございます。娘たちがいても、罪悪感もなく女性に対して無礼になれるということも。結婚していても、女性に対して無礼になれるということも。世界に対して家族写真を公開して、家族を愛する男性だと見せても、罪悪感もなく、責任を問われることもなく、女性に対して無礼になれるということも。これはこの国で毎日起こっていることです。この国の国会議事堂の階段で、起こったことです。この国の最も高い地位にある公職につく者が、女性を傷つけ、私たち女性すべてにあのような言葉を使うと認めて起こったことです」

女性は誰かのものではなく、1人の人間

画像: 女性は誰かのものではなく、1人の人間

 例えば、家庭内暴力は結婚しているパートナー同士の間で起こるものであるし、子供を虐待する親もいる。はたまた、自分のパートナーには敬意を払っていても、他の女性は区別して無礼を働く男性もいるうえ、その逆のパターンもあり得る。6月終わりには、米ミシガン州の州議会議員に立候補していた男性の娘と元妻が、男性には投票しないでと訴えた出来事も起こった。妻と娘がいることは、その男性が女性に敬意を払っている証明にはならない。そしてヨーホー議員がそれを証明したと、痛烈なスピーチを発したオカシオ・コルテス議員。

 彼女のスピーチは大きな賛同が集まり、過去に夫からの壮絶なDV被害に遭っていたことを公表している『glee/グリー』や『SUPERGIRL/スーパーガール』の俳優メリッサ・ブノワも、インスタグラムのストーリーに是非聞いてほしいと動画をシェアしていた。

 また、女性が誰かの娘である・ないにかかわらず、彼女たちに人として敬意を払うことは基本的なこと。2017年にハリウッドの超大物プロデューサーであるハーヴェイ・ワインスタインが数十年にわたってしてきた数々の性暴力が告発された際に、女性への連帯に声を上げた多くの男性著名人が「娘を持つ父として」という言葉を頻繁に使ったことで、女性へのサポートをすることは娘がいなくても出来ることであり、必要なのは道徳心と良心だと話されていた。

 オカシオ・コルテス議員の地元であるニューヨークでウィメンズ・マーチが開催された際には、「彼女は誰かの姉/母/娘/妻でなく、彼女は誰か」と、女性は誰かのものではなく、1人の人間だと声を上げるプロテストの看板が見かけられ、インターネット上で拡散された。(フロントロウ編集部)

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