愛され続ける俳優、ポール・ウォーカー
ポール・ウォーカーは、大人気カーアクション映画『ワイルド・スピード』で知られる人気俳優。大の車好きであった彼は、人気絶頂の最中プライベートでの自動車事故により、2013年11月30日に、帰らぬ人となった。
そのころ彼が出演していた『ワイルド・スピード SKY MISSION』は撮影終了間近だったため、未撮影だったポールのシーンは、CGや、彼にそっくりだった弟たちを代役に立てて撮影された。
映画『ワイルド・スピード』シリーズは、メインキャストの喪失という大きな痛手を負いながらも、シリーズ10作目まで続けるつもりだと、もう一人の主人公を演じるヴィン・ディーゼルは公言している。その理由は、ヴィンがポールとシリーズを10作目まで続けようと約束したから。現在流行中の新型コロナウイルスの関係でシリーズ9作目の『ワイルド・スピード/ジェットブレイク』は2021年に公開が延期されているものの、ヴィンは10作目までやり遂げる意思。
ファンに愛され、『ワイスピ』ファミリーに愛される存在であるポール。彼がこれほどまでに多くの人々に愛されているワケが垣間見えるエピソードを、アメリカ在住のある夫婦が明かした。
カッコ良すぎる! ポール・ウォーカー
2004年ごろ、あるカップルが仲良くカリフォルニアのサンタバーバラにあるジュエリーショップに入店した。男性の名はカイル。彼は当時情勢が悪化していたイラクに派遣され戻ってきたばかりの兵士で、数日後には2回目の派遣を控えていた。
カイルが再びイラクに行ってしまう前に婚約指輪が欲しいと思った二人は、急いでジュエリーを探しにきた。すると、彼らに興味を持った他の客がおもむろに話しかけてきて、もっと大きなものをと色々勧めてきたという。
カイルはしばらくその客と冗談を言いながらさまざまな指輪を見ていたけれど、ふと、その顔が『ワイスピ』に出演しているあの人ではないかと気づき始めた。そう、その人物こそがポール・ウォーカーその人だった。
カイルの妻、クリステンは、先にその人物が誰であるか気づいていたけれど、深く考えないように務め、ポールが「もっと大きい指輪がいい」というたびに「いやいや、値段を見てよ!」とツッコミ役に徹していたと、米CBSに語った。
どんどん高級な指輪を進められるうちに、価格は二人の予算をオーバー。約1,000万円ほどの値段になった時、二人は購入を諦めて店を出て、仕切り直すことにしたそう。
二人がトボトボ店の外を歩いていると、さっきまでいたジュエリーショップの販売員が店から出てきて二人を呼び止めた。なんだろう、と思って戻ると、なんとその販売員の手にはショッパーが。二人がその袋の中を覗いてみると、なんとそこにはさっきまで話し合っていた高価な指輪が入っていた。
夫婦はその指輪がポールからの贈り物だと疑ってやまなかったけれど、ついに彼が亡くなるまで真実を知ることができなかった。しかし、指輪購入から約10年後、二人がテレビを見ているとそのジュエリーショップの店員が米CBSに出演しているのを目撃。店員はポールが見知らぬ夫婦にジュエリーを贈って去っていったことをそこで明かしていた。
夫婦と会話を楽しんだうえで、こっそり指輪をプレゼントして名も名乗らず去っていくなんて、あまりにも粋すぎる。かっこいいだけでなく、そういったちょっとした善行もできちゃうポールがこの世にはもういないことはとても寂しいけれど、この武勇伝はいつまでも語り継がれることだろう。(フロントロウ編集部)