ブラックパンサー俳優、がんで死去
MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)の映画『ブラックパンサー』で主人公ブラックパンサー/ティ・チャラを演じたチャドウィック・ボーズマンが死去。2016年にステージ3の結腸がんと診断され、過去4年間ずっと、映画の撮影のあいだに手術や化学療法を続けていたことが初めて明かされた。
マーベルのスーパーヒーローががんと闘っていたことを初めて知ったファンのあいだで、今、2018年に『ブラックパンサー』のイベントにてチャドウィックが語った言葉と、彼が見せた涙が再び注目されている。
がんで去ったファンの話をする自身も実はがんと闘っていた
メインストリームのアメコミにおける初のアフリカ系のスーパーヒーローであるブラックパンサーがMCUに仲間入りし、さらにマーベル史上初めて黒人キャストや監督主導で単独映画が作られたことは、ショービズ界などあらゆる分野でスポットライトに当たれず、ステレオタイプで描かれてきた黒人のコミュニティに大きな影響を与えたと評価されてきた。
その後、『ブラックパンサー』はスーパーヒーロー映画として初めてアカデミー賞作品賞にノミネートされ、衣装デザイン賞などでマーベル映画として初めてアカデミー賞を受賞した。
そんな社会的なインパクトのある映画をリードしてきたチャドウィックは、2018年に映画のキャストたちと出演した米SiriusXM主催のトークセッションにおいて、映画が黒人コミュニティに与える影響についてトーク。そのとき、がんのためこの世を去ったファンについて触れて、感情がたかぶって言葉をつまらせるシーンがあった。以下、彼の発言訳。
「キッズたちのリアクションには、パーソナルなレベルで心動かされている。最近亡くなってしまったイアンとテイラーという2人の小さな子供がいるんだ。がんだった。
彼らが末期だと知って、撮影中にずっと彼らと連絡を取っていたんだ。彼らの両親に言われたよ、『この子たちは映画の公開を糧にしてるんです』ってね。
そう言われると、ワオ…ジムに行かなきゃ、仕事に行かなきゃ、セリフやアクセントの練習をしなきゃと思う。真剣に映画に打ち込んでいるキャストや映画にそれだけの意味を見出しているファンの存在を考えると、やらなきゃと思う。
映画に対する世界中の反応や映画が新しいムーブメントを生み出していることを見ると、彼らが素晴らしいものを楽しみにしているとわかり、謙虚な気持ちになる。
子供の時はクリスマスを楽しみにしたり、誕生日や、新作のおもちゃ、ビデオゲームを楽しみにするよね。僕もそういう瞬間を楽しみに生きていたのを覚えている。
その2人の子たちがどれだけ映画を楽しみにしているかってことを理解するために、子供のときのそんな気持ちにかえってみた。そして彼らの(死の)ことを知ったとき…」
ここで、涙で言葉をつまらせたチャドウィック。両隣に座っていたナキア役のルピタ・ニョンゴとオコエ役のダナイ・グリラが即座に彼の背中や脚に手を置いて彼を慰めるなか、会場からは、「ゆっくりでいいよ」という声も。
考えを巡らせるように、20秒近く沈黙を続けたチャドウィック。その後、声を振り絞るように「そう、本当に価値のあることだ」と言って発言を締め括った。
チャドウィックの言葉や涙は当時も話題になったものの、今回、じつはチャドウィック自身が当時がんと闘っていたことがわかり、再び注目を浴びている。
ブラックパンサー役でマーベルと5作品の契約を結んだチャドウィックは、2016年の映画『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』でMCUに初参戦し、2018年の『ブラックパンサー』と『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』、2019年の『アベンジャーズ/エンドゲーム』に出演し、2022年公開予定の『ブラックパンサー』続編で再びブラックパンサーを演じる予定だった。(フロントロウ編集部)