キアヌ・リーブス、あの人への思い
現在、約20年ぶりに制作中の『マトリックス』シリーズ最新作となる4作目。現在ドイツのベルリンで撮影が行なわれている本作について、主役ネオを続投するキアヌ・リーブスは、「(脚本・監督の)ラナ・ウォシャウスキーは美しい脚本と素晴らしい物語を書き上げた。それは僕の心に響いたよ。出演を決めた唯一の理由はそれだ」と評価している。
しかし本作では、ある重要な人物は復帰しない。それは、『マトリックス』3部作でラナとともに脚本や監督を務めたウォシャウスキー姉妹の妹リリー・ウォシャウスキー。リリーは、過去にエンターテイメント業界への不満を口にしており、ここ数年は業界と距離を取っていた。2019年のドラマ『Work in Progress(原題)』でふたたび制作に携わっているものの、『マトリックス4』の制作には帰ってこなかった。
ウォシャウスキー姉妹と呼ばれるほど、ラナとリリーがともに才能を発揮してきた中で、リリーが復帰しないことを寂しく思うのはファンだけではないよう。キアヌもまた、米ポッドキャスト『The Big Ticket(原題)』のなかでその思いを吐露した。
「彼女が恋しいよ。彼女がここにいないのがね。でも、理解もしている」
リリーの意思を尊重してきたキアヌ
リリーがカムバックしないことは寂しいという素直な気持ちを明かしながらも、その選択に理解を示したキアヌ。リリーのアイディアや姿勢を受け入れ、彼女をサポートする姿勢は、キアヌがこれまでも見せてきた態度。
トランスジェンダーであるリリーは、1999年に公開された『マトリックス』に登場したスウィッチを、当初はトランスジェンダーとして描こうとしていたことを明かしている。しかし時代がまだその多様性に追いついていなかったため、アイディアを採用しないことにしたそう。時代が2020年になり、その裏話をリリーが明かした時にキアヌは、「『マトリックス』作品は深いと思ってる。そして、映画に登場する多くのキャラクターがそれ(リリーの思い)を表してると思う。リリーがカミングアウトして、それを僕達と話してくれることは、良いことだと思う」と、リリーの姿勢を全肯定するコメントを発していた。
キアヌといえば、自身も2011年に『Ode to Happiness(原題)』、2016年に『Shadows(原題)』という本を出版しており、2017年にはアーティストのアレクサンドラ・グラントと共にX Artists’Booksという出版社を立ち上げたほど、芸術に造詣が深い。さらに2020年7月には、他の作家と共に共同でコミックを制作していることが明らかになっている。ウォシャウスキー姉妹はコミック分野でも活躍していることで有名なので、『マトリックス4』ではふたたび一緒に働くことは叶わなかったけれど、他の分野でキアヌとリリーがコラボするなんて可能性に思いを巡らせてしまう。(フロントロウ編集部)