ティ・チャラの妹役が「兄」の死に無念さをにじませる
マーベル映画史上初の黒人ヒーローを主人公に据え、キャストや製作陣に黒人を多く起用したことやアフリカ文化にフォーカスした内容で、とくに黒人コミュニティから高い評価を得た映画『ブラックパンサー』。この作品で主人公のブラックパンサー/ティ・チャラを演じた俳優のチャドウィック・ボーズマンが、先日、結腸がんとの約4年間の闘病の末に43歳の若さでこの世を去った。
チャドウィックの訃報が全世界に衝撃を与えた直後、ツイッターに「(心が)痛い。本当に痛い」と投稿して、多大なショックを受けていることを明かしていたティ・チャラの妹シュリ役の俳優レティーシャ・ライトが、自身のインスタグラムを更新し、亡くなったチャドウィックへの思いをしたためたポエム(詩)を動画メッセージのなかで読み上げた。
以下、レティーシャのメッセージの全訳。
「(聖書に)こう書かれている。『太陽の下に新しきものなし(※)』と。あの日の朝も太陽は昇っていた。けれど、輝くことを拒絶した。暗い雲がまわりを取り囲み、混乱が始まった。涙が流れた。その涙でできた川はとてつもなく深い。
※「変わり映えがしない」、「大した違いはない」という意味のことわざ。私の兄である地上の天使が旅立ったという報せとともに目覚めるとは思いもしなかった。あなたの魂はとても美しい。あなたが部屋に足を踏み入れると、平穏が訪れた。あなたはいつも優雅で穏やかだった。あなたの姿を目にするだけで、世界がより良い場所になったように思えた。
あなたを失ったという現実を受け入れることを強いられた私や、私たちみんなが今どんな気持ちなのかを表す言葉はどこにもない。せめて『さよなら』を言いたかった。あなたに何度かメッセージを送ったけど、(返事が来なかったのは)ただ忙しかったからだと思ってた。あなたがこんなにたくさんのことを抱えていたなんて知らなかった。でも、そんな困難に逆らって、あなたは自分に与えられた時間のなかで目的を果たすことに集中した。
ロサンゼルス行きの飛行機に乗る前に、あなたと初めて会った時のことは一生忘れない。神は私にあなたは私の兄だと言った。(その言葉に従って)私もあなたのことを本当の兄と思って愛していた。そして、これからも変わらず愛し続ける。
でも今、私の心は完全に壊れている。あなたとの思い出を求めて、古いメールのやり取りや、手書きのメッセージカード、あなたが私の手をに握ってくれた時のことを振り返っている。それが一生続くと思ってた。もっと時間があると思ってた。何年も先も一緒にいられると思ってた。もっと一緒に笑って、また撮影のセットであなたのことをいじれると思ってた。(『ブラックパンサー』の監督である)ライアンのメッセージにもあったけど、また前室であなたの肩に頭を乗せられると。それが永遠に続くと思ってた。だからこそ余計にツラい。
神がすべての傷を癒してくれると信じてる。(聖書には)こうも書かれていた。すべてのものは新しくなり、暗闇に光が差す。いのちの水が流れ、新たな命が誕生する。残された私たちの使命は、あなた(チャドウィック)が地球上に植えていった種を育てて、より美しく開花させること。
あなたは私の心のなかに永遠に存在し続ける」
映画同様、私生活でも本当の兄と妹のような関係にあったチャドウィックとレティーシャ。彼女の「せめて『さよなら』を言いたかった」という言葉からは、兄を失った喪失感と無念さがひしひしと伝わってくる。
ちなみに、『ブラックパンサー』に悪役エリック・キルモンガー役で出演していた俳優のマイケル・B・ジョーダンも、自身のインスタグラムに投稿した長文メッセージの中で、「もっと時間があったらいいのに」と連呼し、無念さをにじませていた。(フロントロウ編集部)