ジョージ・クルーニーにまつわる「映画のような本当の話」
映画『オーシャンズ11』を起点とし、2018年までに3作の続編が公開された『オーシャンズ』シリーズや、映画『ゼロ・グラヴィティ』などへの出演で知られ、俳優のほかにも、監督、脚本家としてもアカデミー賞やゴールデン・グローブ賞をはじめとする数々の映画アワードにノミネート&受賞を果たしているジョージ・クルーニーといえば、ちょうど『ゼロ・グラヴィティ』が公開された2013年に、それまで世話になった友人14人を呼び出し、日本円にして約1億円ずつをキャッシュでプレゼントしたという、まるで映画のワンシーンかのような逸話の持ち主。
この逸話は、2017年、ジョージから1億円を贈られた友人の1人で、彼と一緒にテキーラ・ビジネスを運営しているパートナーでもあるランド・ガーバーが米MBCのドキュメンタリー番組で明かしたことで、世間に知られることとなった。
ランドが語ったところによると、ジョージは、自宅に14人の友人たちを招いて食事をした際、ディナーテーブルに並べた1億円分の札束が詰まったスーツケースを前に、こう説明。
「聞いてくれ。みんなには、君たちが俺にとってどんなに大切で、俺の人生にとって重要な存在であるかっていうことを知っておいて欲しい。(俳優を目指して)ロサンゼルスにやってきた俺は、君たちのソファを寝床にしていたこともある。自分の人生において、君たちと出会えたことは、本当に幸運だったと思ってる。今の俺があるのは、君たちが居てくれたおかげなんだ。だから、まだみんなが生きているうちに、恩返しがしたいと思ったんだ。さあ、スーツケースを開けてみてくれないか」。
さらに、驚きを隠せない友人たちに対し、「みんな、それぞれ、これまでいろんな困難を乗り越えてきただろ?なかには、まだ困難から抜け出せていない奴もいる。君らの子どもの生活費や学費、住宅ローンなんかについては、悩まなくていい。俺がなんとかする」とサラリと告げたという。
裏にはある“大人の事情”が
この話を知った世間の人々は、ジョージの義理人情に厚く、お金に固執しない潔さを褒め称えたが、ランドの暴露から3年が経ち、ジョージがこのエピソードについて、自ら真相を語った。
米GQのインタビューで、当時を振り返ったジョージは、じつは、友人たちにお金を渡そうと思ったのは、当初はヒットが期待されていなかった『ゼロ・グラヴィティ』が大成功したことで、思わぬ高額収入が舞い込んだことが発端だったと告白。
映画の制作元は「俺たちにギャラを支払いたくなかったんだ。当たると思ってなかったからね。その代わり、映画(の興行収入)に応じてパーセンテージが支払われた。結局、映画はヒットして、かなりオイシイ契約だったっていうわけさ」と、“大人の事情”により大金を手にしたことを明かすと、そのお金を友人たちに贈ることを思いついたと語った。
「35年もの間、俺をあらゆる方法で助けてくれた奴らにどうやって恩返しをしようかって考えたんだ。俺が一文無しの時、家のソファで眠らせてくれたり、金を貸してくれたり、俺が助けを必要としていた時は、いつだって彼らが手を差し伸べてくれた。俺が彼らに手を貸したことだってあったよ。みんな良い友人なんだ。彼らがいなかったら、俺が今の生活を手に入れることはできなかった」。
そう続けたジョージは、「もし俺がバスに轢かれて(死んで)も、どうせ彼らの名前は遺書に書いてある。だったら、なんで、自分がバスに轢かれるまで待ってるんだ?」と、友人たちがみんな自分よりも年上で、老い先が短いことも考えると、早く財産を分けてあげたほうがよっぽど合理的だと考えたと明かした。
独身だったことも影響
当時50前半だったジョージは、まだアマル夫人と出会ったばかりで、交際も始まっておらず、自分が将来家庭を持つとは思っていなかったという。2014年の結婚後には、双子のアレクサンダーとエラが誕生し、父親として家族の未来を考えるようになったものの、友人たちに1億円ずつ配った際には、たった1人で大金を抱えていても仕方がないと感じていたそう。
ちなみに、ジョージは、ランドが2017年にこのエピソードを明かした後、ラスベガスのホテルで自分よりも明らかに裕福な男性から、「なんであんな事したんだ?」と不思議そうに尋ねられたそう。これに対し、ジョージは、「なんであんたは、そうしないんだ?マヌケ野郎」と、なんともシビれるひと言を返したという。(フロントロウ編集部)