Photo:ゲッティイメージズ、スプラッシュ/アフロ、Instagram
ヒジャブを被ったモデルとしてランウェイに登場し、スターダムへと駆けのぼったモデルのハリマ・アデンが、ランウェイモデルを引退することを発表した。(フロントロウ編集部)

ヒジャブを被ったモデルとして注目を集める

 2016年のミス・コンテンストではミス・ミネソタとしてミネソタ州を代表し、「史上初めてとなるヒジャブを身に着けたミス」として歴史的な役割を称えられ、2017年、ラッパーのカニエ・ウェストが手がけるファッションブランド、イージー(Yeezy)のファッションショーで初めてランウェイに登場し、「このヒジャブを被ったモデルは誰だ?」とファッション業界を揺るがせたモデルのハリマ・アデン

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 無名モデルだったハリマは、1夜にして大きな注目を浴び、一気にスターダムへと駆けあがり、ジジ・ハディッドやアレッサンドラ・アンブロジオ、キャンディス・スワンポールという人気モデルが所属する大手モデル事務所として知られるIMGと契約。

 それからというもの、ハリマはモデルとしてランウェイを歩いたり、ブランドの広告塔を務めたり、順風満帆にモデルとして活動していた。

 しかし、2020年、突如としてハリマがランウェイモデルを引退することをインスタグラムで発表。ハリマは自身のインスタグラムに「2度とショーのランウェイを歩かない。魂のレベルでしっかり納得できたことは一度もなかったし。奇妙なコンセプトだよね。ファッションウィークのために世界中を旅することは今後ない。すべての悪いエネルギーはそこから生まれていた。私はこれから、今まで以上にヒジャブを守る」として、これからはショーのランウェイに登場しないことを宣言。そして、自身のこれまでのキャリアについては、「責められるべきは、失うものの大きさよりも目の前のチャンスに心を奪われてしまった自分のみ」とコメントした。

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信念を守るためにモデルを引退

 ハリマがモデルを辞めると宣言した裏には、新型コロナウイルスの感染拡大で隔離生活中に自分を見つめ直す機会があったよう。

 ハリマは「マイノリティの中のマイノリティであることは決して簡単ではない」ということをこれまでにも何度も言っており、嫌な仕事を妥協したりお祈りの時間をくれなかったりと、自分の信念や宗教がファッション業界に認められることが少なかったことをインスタグラムで振り返り、大事なものを守るために引退を決意したよう。

画像1: 信念を守るためにモデルを引退

 ハリマは自身のインスタグラムのストーリーズで、これまで行なった仕事の写真をアップし、その時の心境を赤裸々に綴った。そこにはヒジャブを被った初めての撮影といった、モデルとして活動していたうえで起こった嬉しかった出来事も公開されていたけれど、妥協して仕事をしている時のことが多く、「正直に言うと、この時とても不快だった。これは私ではない」や「この撮影の後、心の底ではこれじゃないという気持ちがあったから、ホテルに戻ってすすり泣いた。けど怖くて声をあげられなかった。何かの第一人者になるときは、起こりがちな問題だよね」などと、これまで胸の奥にしまっていたものを放出した。

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 このハリマの行動には同じ事務所のジジ・ハディッドやベラ・ハディッドが賛同して、ハリマをサポートする姿勢を見せているけれど、ほとんどの人がこの問題に触れることなく、スルーしている。

 以前からファッション界は多様性が少ないと言われ続け、ようやくここ数年で多様性のあるモデルがランウェイや広告塔に起用されることが増えた。しかし、ハリマが笑顔で撮影していた裏側にあった闇のように、ブランドイメージのために表面上だけ多様性のあるモデルを起用しているブランドが多く、真のダイバーシティを追い求めるブランドはごく1部にすぎない。ハリマにランウェイから引退すると宣言させたファッション界。ハリマの勇気ある告白によってなにか変化はあるのだろうか。(フロントロウ編集部)

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