実際に起きた母親殺害の事件を実の息子が追い続けたドキュメンタリー番組『Murder on Middle Beach』がアメリカのHBOで放送され、大きな話題を呼んでいる。(フロントロウ編集部)

母を失った少年が真相を追う『Murder on Middle Beach』

 4話で構成されるドキュメンタリー番組の『Murderon Middle Beach(マーダー・オン・ミドル・ビーチ)』は、2020年11月15日よりアメリカのHBOで放送が始まった作品。本作は、実際に発生した殺人事件がベースになっている。

 事件が起きたのは2010年3月3日。コネチカット州マディソンにあるアッパーミドルクラスの住宅付近で、バーバラ・ハンブルクが遺体で発見された。バーバラは庭で殴打され、刺されて死亡したという。

 事件当日は、養育費と生活費の支払いを何年も拒否していた裕福な元夫との裁判に行ったバーバラ。しかし、現在でもこの事件は未解決のまま、犯人は見つかっていない。

 物語の語り手は、そんなバーバラの息子であるマディソン・ハンブルク。この事件は、当時18歳だった彼に消せない傷を残した。以後8年間にわたって彼は母親の事件の真相を追い続け、この度HBOよりドキュメンタリー作品としてその活動が公開されることになった。

『Murder on Middle Beach』が制作されたきっかけ

 「18歳の時、姉から母が殺されたと電話があり、最悪の恐怖が現実のものとなった」とマディソンは語る。「僕がその現実を抵抗しようとすればするほど、母の死は自分の人生の一部になったんだ。母の記憶は薄れ、母の事件は未解決となったけれど、僕はそれを受け入れることができなかった。たとえそれが自分の安全と正気を犠牲にすることを意味するとしても。僕はこのプロジェクトを始めた時に母にこう約束した。『あなたが忘れられることはないようにします』と。こんなこと、母が僕のためにしてくれたであろうことに比べると小さなことだ」

画像1: ©️HBO

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 『Murder on Middle Beach』を作るきっかけになったのは、2013年頃、彼が大学でドキュメンタリーの授業をとっていたこと。デザイン・アートスクールとして高い評価を受けている大学の一つであるサバンナ芸術工科大学のドキュメンタリークラスに在籍していた彼は、ある日の課題で、3人グループで一つの作品を作るように指示されたという。

 グループの一つ目のアイデアがボツになってしまった後、彼は自分の母親のことを仲間に話した。それが全てのきっかけになっている。事件の解明にはまり込んだ彼のもとにHBOが協力し始めたのは2016年。現在彼は29歳になった。

『Murder on Middle Beach』の評価と見どころ

 『Murder on Middle Beach』は現在、米辛口批評サイトRottenTomatoesで批評家スコア100%を獲得している。ある批評家は、「『Murder on Middle Beach』は、これまでに作られた作品の中で、最も強烈で感情的な、真実の犯罪のドキュメンタリーの一つ」だと評価。本作は、現実に起きた事件の当事者が監督を務めているというところが1番のみどころ。

画像2: ©️HBO

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 一方で、観客の中には本作を評価していない人もいる。観客スコアは67%で、その中には「裕福な白人のカップルが引き起こした典型的なドラマ」のようだ、といった厳しい意見も。このように本作は、アメリカで公開後から物議を醸し続けている。もし本作を視聴するときには、この両極端な意見を頭の片隅に置きながら見るのも、楽しみ方の一つ。

 ドキュメンタリー番組『Murder on Middle Beach』は現在4話全てがアメリカのHBOで放送済み。日本での配信予定は未定。(フロントロウ編集部)

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