色あせない名作映画『タイタニック』
映画『タイタニック』は、当時まだ若手だったレオナルド・ディカプリオとケイト・ウィンスレットが主演をつとめ、みごと大ブレイクのきっかけとなった名作。1997年に公開された本作は、映画『ターミネーター』シリーズや、『アバター』など数々のヒット作を生み出したジェームズ・キャメロン監督の手によって制作された。
1912年に実際起こった豪華客船の沈没事故をテーマに扱った悲劇的なストーリーは多くのファンの心を掴み、映画史上最高の世界興行収入としてギネスブックにも掲載された。また、公開された年のアカデミー賞では11部門を受賞。映画史に残る素晴らしい結果を収めた。
そんな本作だけれど、実は映画の制作が行なわれていた際、ある恐ろしい事件が発生していた。
映画『タイタニック』、ディナー薬物混入事件
1996年の8月9日、当時ノバスコシア州ダートマスで撮影が行なわれていた映画『タイタニック』のクルー約50名が、真夜中に病院に搬送された。そのなかには、キャメロン監督もいたという。
その夜のディナーブッフェに貝が含まれていたということで、病院側は食中毒だと診断したけれど、その後の警察の調査により、何者かが薬物をロブスターチャウダーに混入したことが判明。当時は、有名監督の映画を邪魔するための陰謀論とさえささやかれた。その薬物とは、PCPと呼ばれる麻薬で、俗にエンジェルダストと呼ばれており、服用すると強い錯乱を引き起こす。
誰が薬物を入れたのかは今も謎のままだけれど、ブロック・ラベット役を務めたビル・パクストンは、そのときの恐ろしすぎる様子を米EWに語っている。
もともとトレーラーでイタリア料理を食べる予定だったビルは、気が変わってキャメロン監督と一緒にロブスターチャウダーを食べることにした。すると、食べてから15分も経たないうちに、周囲の異変に気付いたそう。そこにいたスタッフはワイワイと賑やかにしていたけれど、よく見てみると笑ったり泣いたり、そして中には吐いている人までいて、本当に異様な様子だったという。
ビルは、「次の瞬間には、紙袋の中で息をしたくなるほどの不安感に襲われたよ。キャメロン監督も同じように思っていた」と、明かした。そして『タイタニック』のクルーを診察した医師は「彼らは何が起こっているのか分かっていなかった」と、クルーは薬物をこっそり飲まされたということを明言した。幸いなことに重傷者は出ず、翌日には撮影は再開したという。
そんな恐ろしい事件が起きたにもかかわらず、米Varietyのインタビューによると、キャメロン監督はスタッフの誰のことも疑っていなかったそう。そしてなんとか映画は完成し、大ヒットで世界に迎えられた。(フロントロウ編集部)