エイズの影響を受けた3人の若者の姿を描く『It's a Sin』
イギリスのChannel 4とHBO Maxで2021年1月22日より配信予定のドラマ『It's a Sin(読み:イッツ・ア・シン/意味:それは罪)』が注目を浴びている。
本作は、元『ドクター・フー』のショーランナーで、人気のクィアドラマ『Queer As Folk』も手がけたラッセル・T・デイヴィスが新たに放つ作品で、1980年代のイギリスを舞台に、HIVに翻弄される3人のゲイ男性の生活を映し出す。
世界でエイズ患者が初めて報告されたのは1981年。『It's a Sin』は、自らゲイであることを公表しているデイヴィスの実体験をベースにしており、その頃の若者に走った恐怖や混乱を描き出しているという。
現在ではHIV/エイズ患者は年々減少し続けており、医療の進歩によって、適切な治療をすればHIVに感染していない人と同等の生活を送ることが期待できるとされているけれど、1990年代頃までは「HIV/エイズ=死」というイメージが先行していた。
デイヴィスは英Radio Timesに「私は1981年に(主人公の)リッチーと同じ18歳でした。そのため、私の中にはつねにこの問題の核となっているものがありました。しかし(物語にするということに)たどり着くまでには長い時間がかかりました」と語り、続けて「まず、私が今の年齢になる必要があったのかもしれない」とコメントした。
同性愛者である俳優を起用することにこだわった『It's a Sin』
同性愛者が多く登場する『It's a Sin』のキャスティングでは、同性愛者である俳優を起用することにこだわったそうで、キャストには色鮮やかな顔が並ぶ。
イヤーズ&イヤーズのリードボーカルでありLGBTQ+アクティビストのオリー・アレクサンダー、夫との間に子供が2人いる、ドラマ『ママと恋に落ちるまで』のニール・パトリック・ハリス、2015年に男性パートナーと結婚した、映画『ホビット』シリーズのスティーヴン・フライのほか、新人のカラム・スコット・ハウウェルズ、ナサニエル・カーティスなど、フレッシュな面々も参加している。
デイヴィスはキャスティングについて、英Radio Timesに「誰かをキャスティングする場合、私はその人を、恋人や敵、麻薬をやっている人、犯罪者や聖人としてキャスティングしていると強く感じている。つまり彼らは『ゲイを演じる』ためにそこにいるわけじゃないんだ」とコメント。そして、「非障害者を車いすに乗せたり、誰かを黒人にしたりしない。信憑性は私たちを楽しい場所へと導いてくれる」と続けた。
ちなみにそんな『It's a Sin』は、元々は『The Boys』というタイトルで放送される予定だった。ところが本作の放送前にAmazonプライム・ビデオで始まったドラマ『ザ・ボーイズ』が爆発的な人気を得たために、タイトルを変更せざるを得なかったそう。
そんな『It's a Sin』は20201年1月22日よりイギリスのChannel 4で放送、HBO Maxで配信予定。(フロントロウ編集部)