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第78回ゴールデン・グローブ賞のノミネーション作品&俳優が発表された。(フロントロウ編集部)

最多は『Mank/マンク』、『ザ・クラウン』 Netflix配信作優勢

 ハリウッド外国人映画記者協会(HFPA)の会員の投票により選定されるゴールデン・グローブ賞は、アカデミー賞の前哨戦とも言われている映画界において最も注目のアワードの1つ。その第78回ゴールデン・グローブ賞の全ノミネート作品&俳優が日本時間の2月3日に発表となった。

 新型コロナウイルスの影響により、多くの劇場が休館となり、映画界が大きな打撃を受けた2020年。そんな異様な年に公開された映画で最多ノミネートとなったのは、Netflixで配信されたゲイリー・オールドマン主演の『Mank/マンク』。

映画『Mank/マンク』より

 映画史に残る名作として知られる『市民ケーン』の共同脚本家であるハーマン・J・マンキーウィッツの伝記映画である同作は、作品賞、主演男優賞、監督賞、脚本賞、助演女優賞の計6部門にノミネートされた。

 それに続く作品は、ベトナム戦争の反対運動に端を発し、抗議デモを企てたとされ逮捕・起訴された7人の男たち“シカゴ・セブン”の裁判を描いた実話に基づく物語『シカゴ7裁判』。監督賞、脚本賞、助演男優賞を含む5部門へのノミネートで『Mank/マンク』を追う。

映画『シカゴ7裁判』より

 ドラマ部門で優勢となったのは、『ザ・クラウン』。イギリス王室のエリザベス女王の政治的苦悩やプライベートでの葛藤を描いた同作は、最多となる6部門にノミネートを果たした。それを追うのが、それぞれ5部門にノミネートした、クライムドラマ『オザークへようこそ』と2020年にエミー賞を総なめにしたコメディドラマ『シッツ・クリーク』。

ドラマ『ザ・クラウン』より

 映画部門の先頭を走る『Mank/マンク』、『シカゴ7裁判』、テレビ部門の最多『ザ・クラウン』、『オザークへようこそ』は、すべてNetflix配信作品。このほかにも、映画『マ・レイニーのブラックボトム』、ミュージカル映画『ザ・プロム』、ドラマ『エミリー、パリへ行く』、アニメ映画『フェイフェイと月の冒険』など、パンデミック禍で需要がさらに高まったNetflix配信の作品が、ジャンルを問わず合計42ものノミネートを果たし、圧倒的な強さを見せつけた。

 そのほかにもHuluやディズニープラス(Disney+)、Amazon Prime、Apple TV+といったストリーミングサービスのオリジナル作品や配信作品のノミネートが目立った。

女性監督の作品が健闘

 監督賞には、『ノマドランド』のクロエ・ジャオ、『プロミッシング・ヤング・ウーマン』のエメラルド・フェンネル、『あの夜、マイアミで』のレジーナ・キングと3名の女性監督がノミネート。

 ノミネートされた5名のうち3名が女性と、過半数となり、男性優位体質が続くハリウッドで、ようやく女性監督による作品がスポットライトを浴び、正当な評価を受けることができるようになってきたことを象徴するような結果となった。

画像: 映画『ノマドランド』©Cor Cordium Productions/ Hear Say Productions/ Highwayman Films / Album/ Newscom

映画『ノマドランド』©Cor Cordium Productions/ Hear Say Productions/ Highwayman Films / Album/ Newscom

画像: 映画『プロミッシング・ヤング・ウーマン(原題)』©FOCUS FEATURES AlbumNewscom

映画『プロミッシング・ヤング・ウーマン(原題)』©FOCUS FEATURES AlbumNewscom

画像: 映画『あの夜、マイアミで』©Everett Collection SplashNews.com

映画『あの夜、マイアミで』©Everett Collection SplashNews.com


 以下、ノミネート作品&俳優リスト。

<映画の部>

ドラマ部門 作品賞

『ファーザー』
『Mank/マンク』
『ノマドランド』
『シカゴ7裁判』
『プロミッシング・ヤング・ウーマン(原題)』 

ドラマ部門 主演女優賞

ヴィオラ・デイヴィス(『マ・レイニーのブラックボトム』)
アンドラ・デイ(『ユナイテッド・ステーツ vs ビリー・ホリデイ』)
ヴァネッサ・カービー(『私というパズル』)ゼンデイヤ(『マルコム&マリー』)
フランシス・マクドーマンド(『ノマドランド』)
キャリー・マリガン(『プロミッシング・ヤング・ウーマン』)

ドラマ部門 主演男優賞

リズ・アーメッド(『サウンド・オブ・メタル 〜聞こえるということ〜』)
チャドウィック・ボーズマン(『マ・レイニーのブラックボトム』)
アンソニー・ホプキンス(『ファーザー』)
ゲイリー・オールドマン(『Mank/マンク』)
タハール・ラヒム(『モーリタニアン』)

コメディ/ミュージカル部門 作品賞

『続・ボラット 栄光ナル国家だったカザフスタンのためのアメリカ貢ぎ物計画』
(以下『続・ボラット』)
『ハミルトン』
『ミュージック』
『パーム・スプリングス』
『ザ・プロム』

コメディ/ミュージカル部門 主演女優賞

マリア・バカロワ(『続・ボラット』)
ケイト・ハドソン(『ミュージック』)
ミシェル・ファイファー(『フレンチ・イグジット(原題)』)
ロザムンド・パイク(『アイ・ケア・ア・ロット』)
アニャ・テイラー=ジョイ(『エマ(原題)』)

コメディ/ミュージカル部門 主演男優賞

サシャ・バロン・コーエン(『続・ボラット』)
ジェームズ・コーデン(『ザ・プロム』
リン=マニュエル・ミランダ(『ハミルトン』)
デーヴ・パテール(『どん底作家の人生に幸あれ!』)
アンディ・サムバーグ(『パーム・スプリングス』)

アニメ映画賞

『ザ・クルーズ: ア・ニュー・エイジ』
『ソウルフル・ワールド』
『2分の1の魔法』
『フェイフェイと月の冒険』
『ウルフウォーカー』

外国語映画賞

『アナザー・ラウンド(英題)』
『ラ・ヨローナ〜泣く女〜』
『これからの人生』
『ミナリ』
『トゥー・オブ・アス(英題)

映画の部 助演女優賞

グレン・クローズ(『ヒルビリー・エレジー 郷愁の哀歌』)
オリヴィア・コールマン(『ファーザー』)
ジョディ・フォスター(『モーリタニアン』)
アマンダ・サイフリッド(『Mank/マンク』)
ヘレナ・ゼンゲル(『ニューズ・オブ・ザ・ワールド』)

助演男優賞

サシャ・バロン・コーエン(『シカゴ7裁判』)
ダニエル・カルーヤ(『ジューダス・アンド・ブラック・メサイア(原題)』)
ジャレッド・レト(『ザ・リトル・シングス』)
ビル・マレー(『オン・ザ・ロック』)
レスリー・オドム・Jr.(『あの夜、マイアミで』)

監督賞

エメラルド・フェンネル『プロミッシング・ヤング・ウーマン(原題)』
クロエ・ジャオ(『ノマドランド』)
デヴィッド・フィンチャー(『Mank/マンク』)
レジーナ・キング(『あの夜、マイアミで』)
アーロン・ソーキン(『シカゴ7裁判』)

脚本賞

エメラルド・フェンネル(『プロミッシング・ヤング・ウーマン(原題)』)
ジャック・フィンチャー(『Mank/マンク』)
アーロン・ソーキン(『シカゴ7裁判』)
フローリアン・ゼレール&クリストファー・ハンプトン(『ファーザー』)
クロエ・ジャオ(『ノマドランド』)

作曲賞

アレクサンドル・デスプラッ(『ミッドナイト・スカイ』)
ルドウィグ・ゴランソン(『TENETテネット』)
ジェームズ・ニュートン・ハワード(『ニューズ・オブ・ザ・ワールド』)』)
トレント・レズナー&アッティカス・ロス(『Mank/マンク』)
トレント・レズナー&アティカス・ロス(『ソウルフル・ワールド』)

主題歌賞

「Fight for You」 (『ジューダス・アンド・ザ・ブラック・メサイア(原題)』)
「Hear My Voice」(『シカゴ7裁判』)
「Io Si(Seen)」 (『これからの人生』)「Rain Song」 (『ミナリ』)
「Speak Now」 (『あの夜、マイアミで』)
「Tigress & Tweed」(『ユナイテッド・ステーツ vs ビリー・ホリデイ』)

<テレビの部>

ドラマ部門 作品賞

『ザ・クラウン』
『ラヴクラフトカントリー 恐怖の旅路』
『マンダロリアン』
『オザークへようこそ』
『ラチェッド』

ドラマ部門 主演女優賞

オリヴィア・コールマン(『ザ・クラウン』)
ジョディー・カマー(『キリング・イヴ』)
エマ・コリン(『ザ・クラウン』)
ローラ・リニー(『オザークへようこそ』)
サラ・ポールソン(『ラチェッド』)

ドラマ部門 主演男優賞

ジェイソン・べイトマン(『オザークへようこそ』)
ジョシュ・オコーナー(『ザ・クラウン』)
ボム・オデンカーク(『ベター・コール・ソウル』)
アル・パチーノ(『ナチ・ハンターズ』)
マシュー・リス(『ペリー・メイスン』)

コメディ/ミュージカル部門 作品賞

『エミリー、パリへ行く』
『ザ・フライト・アテンダント(原題)』
『THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語~』
『シッツ・クリーク』
『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』『ラミー 自分探しの旅』

コメディ/ミュージカル部門 主演女優賞

リリー・コリンズ (『エミリー、パリへ行く』)
ケイリー・クオコ(『ザ・フライト・アテンダント(原題)』)
エル・ファニング(『THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語~』)
ジェーン・レヴィ(『ゾーイの超イケてるプレイリスト』)
キャサリン・オハラ(『シッツ・クリーク』)

コメディ/ミュージカル部門 主演男優賞

ドン・チードル(『ブラック・マンデー』)
ニコラス・ホルト(『THE GREAT ~エカチェリーナの時々真実の物語~』)
ユージン・レヴィ(『シッツ・クリーク』)
ジェイソン・サダイキス(『テッド・ラッソ:破天荒コーチがゆく』)
ラミ・ユセフ(『ラミー 自分探しの旅』)

リミテッドシリーズ/テレビムービー部門 作品賞

『ふつうの人々』
『クイーンズ・ギャンビット』
『スモール・アックス(原題)』
『ジ・アンドゥーイング(原題)』
『アンオーソドックス』

リミテッドシリーズ/テレビムービー部門 主演女優賞

ケイト・ブランシェット(『ミセス・アメリカ~時代に挑んだ女たち~』)
デイジー・エドガー・ジョーンズ(『ふつうの人々』)
シーラ・ハース(『アンオーソドックス』)
ニコール・キッドマン(『ジ・アンドゥーイング(原題)』)
アニャ・テイラー=ジョイ(『クイーンズ・ギャンビット』)

リミテッドシリーズ/テレビムービー部門 主演男優賞

ブライアン・クランストン(『ユア・オーナー(原題)』
ジェフ・ダニエルズ(『ザ・コミー・ルール 元FBI長官の告白』)
ヒュー・グラント(『ジ・アンドゥーイング』)
イーサン・ホーク(『ザ・グッド・ロード・バード(原題)』)
マーク・ラファロ(『ある家族の肖像/アイ・ノウ・ディス・マッチ・イズ・トゥルー』)

テレビの部 助演女優賞

ジリアン・アンダーソン(『ザ・クラウン』)
ヘレナ・ボナム=カーター(『ザ・クラウン』)
ジュリア・ガーナー(『オザークへようこそ』)
アニー・マーフィー(『シッツ・クリーク』)
シンシア・ニクソン(『ラチェッド』)

テレビの部 助演男優賞

ジョン・ボイエガ(『スモール・アックス(原題)』)
ブレンダン・グリーソン(『ザ・コミー・ルール 元FBI長官の告白』)マハーシャ
ダニエル・レヴィ(『シッツ・クリーク』)ラ・アリ(『ラミー 自分探しの旅』)
ジム・パーソンズ(『ハリウッド』)
ドナルド・サザーランド(『ジ・アンドゥーイング(原題)』


今年の授賞式はどうなる?

 パンデミック禍での開催となる今年の授賞式は、例年ならば1月の第2週に開催されるところ、映画&ドラマ・アワードの“本丸”と言われるアカデミー賞の延期に伴い、例年より遅めの2月28日(日本時間3月1日)に開催。

 司会を務めるのは、 2013年、2014年、2015年にもホストを務めた仲良しコメディアン・コンビのエイミー・ポーラーとティナ・フェイ。

画像1: 今年の授賞式はどうなる?

 しかし、2人は一堂に会すわけではなく、エイミーは、毎年ゴールデン・グローブ授賞式の会場となっているカリフォルニアのビバリー・ヒルトン・ホテルから、ティナはニューヨーク・マンハッタンにあるザ・レインボー・ルームから司会を行なうこととなる。

 現時点ではプレゼンターやパフォーマーは発表されておらず、西海岸と東海岸の会場にどれくらいのゲストたちが集まることになるのかは不明。多くの受賞者たちは、2020年9月に開催されたエミー賞と同様に、会場に駆けつけるのではなく、自宅などでトロフィーを受け取るのではないかと予想されている。 

 例年ならば、プレゼンターたちにトロフィーを運ぶ役割を担う「ゴールデン・グローブ・アンバサダー」には、映画『マルコムX』や『ブラック・クランズマン』で知られる映画監督のスパイク・リーとプロデューサーのトーニャ・ルイス・リーの子供であるサッチェル・リーとジャクソン・リーが抜擢。彼らは、ゴールデン・グローブ賞史上初めてアンバサダーに任命された有色人種の姉弟として歴史を変えることとなる

画像2: 今年の授賞式はどうなる?

(フロントロウ編集部)

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