金融界を揺るがした「ゲームストップ株騒動」
2021年1月の最終週、金融業界を混乱に陥れる事件が発生した。「ゲームストップ株騒動」と言われているこの事件は、アメリカのゲーム小売業者ゲームストップの株価が、1月28日に突如急騰し、その後急落した、株式の動き。
ゲームストップはアメリカにあるしがないゲームショップで、ビデオゲームのソフトやハード、グッズなどを売るチェーン店。ゲームプレイにソフトが必要なくなってきたこの時代に、なんとか生き延びている状態の企業のはずだった。
そんな企業に目をつけたのが、「ロビンフッダー」と呼ばれるアマチュア投資家集団。ロビンフッダーは、株トレードの人気アプリ「ロビンフッド」のユーザーのことで、株式の売買をゲーム感覚で楽しんでいる人々。
ロビンフッダーは、RedditやDiscordなどの掲示板やソーシャルメディアを通じて、次のトレードのアイデアを話し合い、示し合わせて一斉に買い上げ、市場のバランスを乱すように。個人の力を合わせ、たくさんの株を持っている機関投資家と売買の攻防戦、いわゆる「仕手戦(してせん)」を繰り広げていた。
「ゲームストップ株騒動」で浮かび上がった“ある疑惑”
今回ロビンフッダーがこぞって“価値が低い”とされていたゲームストップの株を買い漁った理由は、株価が下がることで利益を得る戦法、つまり「空売り」で儲けていたヘッジファンドを混乱させるため。
この展開により、数々のヘッジファンドが大きな打撃を受け、特に標的となっていた米ヘッジファンド大手のメルビン・キャピタル・マネジメントは1月に運用資産の53%を失ったともいう。
この激しいマネーゲームの中、事態に気がついたロビンフッドを運営するロビンフッド・マーケッツは1月28日突如、最も商いの集中している一部銘柄の新規買い注文を受け付けないことを発表。あまりにトレードが多かったため、取引の中で必要な金額が、手元資金を超えてしまったことが原因と発表されている。しかしこの対応がかえって「株式市場はやはり巨大ファンドのために仕組まれているのでは?」という批判を込めた疑念を投げかけられる要因に。
その後取引は再開されたものの、2月2日の時点でゲームストップ株は下落を続けており、時価総額はピークから約2兆8400億円余り吹き飛んだ。とはいえ、ゲームストップの2021年の上昇率は約377%だというから驚き。
このビッグニュースについて、ネットや経済界では様々な議論が交わされているけれど、一部では陰謀論までささやかれ始めた。アメリカ新政府で女性初の財務長官となったジャネット・イエレン氏が、ウォール街の権力を司ると言われる巨大企業シタデルから講演料として数十万ドルを受け取ったことが、今回の騒動に何か関係しているのではないかという見方も出てきている。
そんな大騒動にも発展しつつあるホットなニュースについて、早くもNetflixが目をつけた。
「ゲームストップ株騒動」が映像化!
この一連の騒動を映像化するにあたり、Netflixは映画『ハート・ロッカー』や『デトロイト』などに携わったオスカー受賞脚本家、マーク・ボールに執筆を交渉中。監修には、ニューヨーク大学スターンビジネススクールのマーケティング教授のスコット・ギャロウェイを迎え、制作をするとのこと。
また、Netflixの映画『好きだった君へのラブレター』で注目され、映画『パーフェクト・デート』や『好きだった君へ: P.S.まだ大好きです』などへの出演でますます人気が爆発中のノア・センティネオに出演交渉中。
映像化の詳細についてはまだ発表されていないけれど、Netflixが我先にと手をつけたこの「ゲームストップ株騒動」、今後の展開にも注目したい。(フロントロウ編集部)