新型コロナウイルスの影響によって新しい日常を送る人が増えるなか、ペットたちの生活にも影響が出ている。(フロントロウ編集部)

コロナ禍でペットを求める人が増加

 新型コロナウイルスによって日常が変化してから、約1年が経った。リモート勤務になったり、休日は家にいることが増えたりした人は多く、趣味などの過ごし方も含めて多くの人が新しい日常の過ごし方を模索した。

 レストランなどの飲食業などは大きな打撃を受けている一方で、各国で売り上げが伸びたと報告されている業界もある。それは、ペットに関する業界。

画像: コロナ禍でペットを求める人が増加

 単純に家にいる時間が増えたからといった理由もあれば、家にいることで鬱状態になるのを避けるためにといった理由まで、さまざまな思いからペットを飼い始めた人は多いようで、米ニールセンが行なった調査によると、2020年3月から7月の間で1匹以上の犬か猫を迎えた回答者は20%にのぼった。2019年の調査では、その割合は5%以下だったという。また、ペットグッズの売れ行きも好調で、例えば犬用のひものセールスは2月から8月の間で13%もあがったという。

 イギリスでも同様のことは起こっており、動物のマーケットプレイスであるPets4Homesによると、子犬を求める声は51%増えたという。

コロナ禍でペットを捨てる人も増加…

 シェルターから多くの犬が引き取られたことは良いことだけれど、一方で、残念ながら、犬が捨てられる件数も増加している。英国動物虐待防止協会(RSPCA)によると、パンデミックが始まってから、5,955件の通報を受けたという。

 RSPCAの専門家は英Sky Newsの取材に対して、「(ペットの)放棄は、人々が気まぐれに子犬を手に入れて起こります。そういった人たちは長年犬を飼うことを先延ばしにしていたけれど、突然時間が出来たり、家で過ごす時間が増えたりしたから、今が犬を飼うタイミングだと思うのでしょう」と厳しくコメントする。 

 また、イギリスで犬の保護活動を行なうチャリティ団体のAll Dogs Matterの共同創設者は、現在の状況を利用してお金儲けを狙う悪質な業者についても、強く批判した。

画像: コロナ禍でペットを捨てる人も増加…

 原因は他にも、不安定な社会状況のなかで経済的支援が行き届いていない場合、ペットを飼い続けることが困難になってしまうこともあるかもしれない。さらに、感染症への恐怖が飼い主を突き動かす場合も。シンガポールでは、ある飼い主が、飼い猫が新型コロナウイルスを自分に移すかもしれないとして、4匹の猫を捨てた。その出来事はすぐに発覚し、飼い主は罰金を科せられることとなった。

 そして、新型コロナウイルスの影響で、家庭内暴力(DV)を受ける女性が増えている。そこで注目したいのは、DV被害者を受け入れているシェルターの多くが、ペットの同伴を受け入れていないということ。愛するペットが一緒に来られないなら、とシェルター入りを断念する被害者もいる。

 ペットフードブランドのPurinaによると、アメリカにあるDVシェルターのうち、ペットも受け入れているのは10%。一方で、シェルターに滞在した女性で、その加害者がペットも傷つけたことがあると答えた割合は70%に及ぶ。

 RSPCAの専門家は、犬を飼う前に一度立ち止まって、しっかりと考えてから行動すべきだと話した。(フロントロウ編集部)

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