サッカーファンによるシャキーラへの侮辱が問題視
女性の権利を守り、女性の活躍を支援するために世界中で祝われている3月8日の国際女性デー(International Women’s Day)。性差別について考え、女性たちが置かれている不利な立場や状況の改善について考えるこの日を欧米が日本より少し遅れて迎えるなか、信じられないようなニュースが飛び込んできた。
それは、フランス・パリに本拠地を置くサッカークラブパリ・サンジェルマンFC(以下PSG)のサポーターたちが、対戦チームとなったFCバルセロナのスター選手ジェラール・ピケへの妨害行為として、彼のパートナーで人気シンガーのシャキーラを著しく侮辱するという暴挙に出たというもの。
ピケ選手との間に2児がいるシャキーラといえば、近年では、2016年公開のディズニー映画『ズートピア』にガゼル役の声優として出演したほか、主題歌「トライ・エヴリシング」がヒット。2020年のスーパーボウル・ハーフタイムショーでは、同じくラテン系歌姫のジェニファー・ロペスと肩を並べて圧巻のパフォーマンスを披露したことも記憶に新しい。
欧米の熱狂的なサッカーファンのなかには、敵チームの選手やサポーターを挑発するため、試合前やプレー中に過激な行為に出る人々もいるが、PSGの一部のサポーターが行なったシャキーラをネタにした妨害行為は極めて悪質。
ピケ選手所属のFCバルセロナとの試合が迫るなか、3月7日には、一部のサポーターたちが「Shakira à la jonquera(訳:シャキーラはラ・ジョンケラにいる)」と書かれた横断幕を掲げて練り歩いた。
� | With almost 50,000 tweets, #RespectShakira is trending on Twitter in multiple countries, including Brazil, Colombia, Ecuador, Mexico, Puerto Rico, and the US.
— shakirastuff (@shakirastuff_) March 8, 2021
This is due to PSG fans holding a misogynistic banner directed at Shakira. #WomensDay #RespectWomen pic.twitter.com/wwC0otVaIr
ラ・ジョンケラは、スペインとフランスの国境にある自治体で、売春で有名な地区。PSGサポーターたちは、シャキーラを遠回しに“娼婦”呼ばわりすることで、ピケ選手のプライドを傷つけようという作戦に出た。
過去にも何度も似たような侮辱が繰り返されてきた
世界的に知名度がある歌手の彼女に女性蔑視的な言葉やメッセージ浴びせることで、ピケ選手を動揺させようという下劣な行為は、もう何年も前から繰り返されてきた。
2016年には、RCDエスパニョールのサポーターがゴール裏で「シャキーラはみんなのもの(=誰とでもヤる)」と書かれた横断幕を掲げて大問題に。
チーム側はこれらのサポーターを出禁処分にしたと発表したが、それでもシャキーラを侮辱する妨害行為は収まらず、別のチームとの試合では、背中に「シャキーラ」と書かれたダッチワイフを試合に持ち込んで挑発するサポーターたちも現れた。
Shakira doesn't deserves this.
— shakirastuff (@shakirastuff_) March 7, 2021
No woman deserves this.#RespectShakira#RespectWomen pic.twitter.com/9gb3TToWSa
シャキーラへの一連の侮辱行為を見るに見かねたファンたちが、ツイッターやインスタグラムでは「#RespectShakira」というハッシュタグを使い、シャキーラを擁護。
国際女性デーと絡めて「#RespectWomen(リスペクト・ウィメン)」というハッシュタグも併用し、こんなことはもう終わりにするべきだと訴えている。
PSGの公式アカウントは、今年の国際女性デーに合わせて『Allez les Filles(行け女性たち)』と題した特集記事や動画を公開したが、サポーターがあんな女性蔑視的な行動に出ているのに「白々しい」「偽善的」と批判が寄せられている。
シャキーラを“娼婦”呼ばわりする横断幕を掲げていたサポーターの中には、女性も含まれており、ほかの女性が辱められるのを傍観するだけでなく、参加までしている女性たちがいるという恐ろしい事実に多くの人々がショックを受けている。(フロントロウ編集部)