デザイナーのアレキサンダー・ワンをめぐる性的暴行疑惑に新たな展開。アレキサンダーが声明を発表し、被害告発者たちと対話する場をもうけたことを明かし、過去の自分の行動を省みるコメントをした。(フロントロウ編集部)
アレキサンダー・ワンが性的暴行疑惑に関して新たな声明
複数の男性やトランスジェンダーからセクハラや性的暴行、レイプ、薬物やアルコールの摂取の強要などを告発された米デザイナーのアレキサンダー・ワンが、米現地時間の3月8日、自身の公式インスタグラムを通じて声明を発表した。
「私の過去のプライベートにおける行動に関して、最近、複数の人々が告発を行ないました。私は彼らの告発する権利をサポートするとともに、彼らの言い分に注意深く耳を傾けました。彼らにとって、自分たちの体験を打ち明けることは簡単なことではありませんでした。彼らに苦痛を与えるような行ないをしてしまったことを反省しています。個人的なやり取りの詳細のいくつかに関しては合意できませんが、今後はより良い手本となれるよう、自分の知名度や影響力を活かし、他者が有害な行動に関して認識するのを手助けしていきたいと思っています。人生とは、学び、成長することです。そのことを思い知った今、私はより良い行ないをしていくことを誓います。—アレックス」
告発が相次いだ直後、1月に出した声明では、「私は、伝えられているような非人道的な行為を行なったことは、これまで一度もなく、今後も決してそのような行動に出ることはありません。私は真相を突き止め、告発の起点となり、ネット上に悪意を持って拡散した人物に責任を課すつもりです」と疑惑を完全否定し、徹底抗戦の構えを見せていたアレキサンダーだが、被害告発者たちとの対話を経て、主張を一転した。
被害告発者たちの弁護人が「謝罪」を認める
アレキサンダーの声明からしばらくして、被害告発者計11名を担当する弁護士のリサ・ブルーム氏がアレキサンダーと彼のチームと面会したことをツイッターを通じて報告。
「私のクライアントたちは、彼にそれぞれの真実を話す機会を得て、痛みや苦悩を伝えました。私たちはワン氏の謝罪を認め、前に進みます。この件に関しては今後コメントすることはありません」と、アレキサンダーから被害者告発者たちに対して直接謝罪が行なわれたことを示唆した。
We have met with Alexander Wang and his team. My clients
had the opportunity to speak their truth to him and expressed their pain and
hurt.We acknowledge Mr. Wang’s apology and we are moving
forward.We have no further comment on this
matter.— Lisa Bloom (@LisaBloom) March
9, 2021
アレキサンダーによる性的暴行告発が相次いだのは、2020年末にモデル兼グラフィックデザイナーのオーウェン・ムーニーがTikTokに投稿した動画を通じて、2017年にニューヨークのとあるクラブで遭遇したアレキサンダーに脚や股間を執拗に触られたと告白したことが発端だった。
彼の投稿が、ファッション界の不正や闇をあぶり出してきたことで知られるインスタグラムアカウント、Shit Model Management(SMM)とDiet Pradaを通じて拡散。
これらのアカウントは、自身もアレキサンダーから「性的暴行を受けた」、「酒やドラッグを飲み物に混ぜられて性行為を強要された/されそうになった」といった匿名の男性やトランスジェンダーの告発を紹介し、「アレキサンダー・ワンは、性的暴行の常習犯の可能性がある。たくさんの男性モデルやトランスジェンダーモデルたちがアレキサンダーによる性的虐待の被害を告発している」と警告を行なった。

その後、米New York TimesやBusiness of Fashion、Daily Mailといったメディアを通じて複数名の告発者たちが自身の体験を告白。SNSでは、第一告発者のオーウェンの先導により、「#Me Too(ミー・トゥー)」になぞらえ、男性やLGBTQ+の性的暴行やセクハラの被害者たちの告発を促がすムーブメントとして「#UsToo(アス・トゥー)」を活性化させようという動きがみられた。
アレキサンダーの新たな声明には、自身にかけられた性的暴行を認める直接的なコメントは含まれていないが、ブルーム弁護士の説明から察するに、被害告発者たちとはすでに話し合いにより和解し、問題解決に至ったものとみられる。
世間では、法廷には持ち込まず、示談で解決=被害告発者たちに慰謝料を支払って解決したと見る人が多く、「結局お金で解決か」と不満を滲ませる声もある。(フロントロウ編集部)