急増するアジア系人種へのヘイトクライム
アメリカのニュース番組『The View』のホストの1人であるメーガン・マケインが、アメリカで急増するアジア系アメリカ人へのヘイトクライムについて口を開いた。
新型コロナウイルスが初めて確認されたのが中国だったことがきっかけとなり、アメリカでは、コロナ禍を通してアジア系人種へのヘイトクライムが急増。今年1月には、サンフランシスコでタイ出身の84歳男性が襲われて死亡した。2月には、ニューヨークで電車に乗っていた61歳のフィリピン系アメリカ人男性が刃物で顔を切りつけられ、左のこめかみから右頬まで達する長さのケガを負った。3月には、76歳のアジア系アメリカ人女性が男性に殴られ、応戦した。
そして3月16日に、ジョージア州アトランタで白人の男ロバート・アーロン・ロングが3つのアジア系マッサージ店で銃撃事件を起こした。8名が命を落とし、うち7名が女性、6名がアジア系だった。
警察は当初、男が人種は動機ではないとしているとし、セックス依存症だった可能性を動機の1つだとみているとした。しかしアジア系女性をフェチの対象とすることも人種問題のうちの1つに当たるうえ、犯人は1つ目の店舗を銃撃したのち、わざわざ約30マイル(約48km)を移動し、2つの店舗で銃撃。人口の4%がアジア系であるジョージア州で、アジア系によるマッサージ店を狙ったことを、アジア系へのヘイトクライムであると言わない警察に批判が高まった。
また、韓国メディアの朝鮮日報は、犯人が現場で「すべてのアジア系を殺す」と叫んでいたという目撃情報を報じている。
ちなみに、銃撃事件後の記者会見で、犯人にとってその日は「本当についてない日」だったと発言した地元警察のスポークスパーソンは、「中国から輸入されたウイルス」と書かれたTシャツを宣伝していたことが発覚し、担当を外された。
メーガン・マケイン、過去の差別発言を謝罪
このアトランタの事件を受けて、メーガンはツイッターに「アジア系へのヘイトを止めろ(StopAsian Hate)」と書かれた画像と、ひび割れたハートの絵文字を3つ投稿していた。しかしこの行動の矛盾点を、コメディアンのジョン・オリバーが指摘。
メーガンは、元アメリカ合衆国大統領候補の共和党ジョン・マケイン氏の娘であり、保守派として知られる。
ドナルド・トランプ氏が大統領時代に、新型コロナウイルス(Covid-19)のことを中国ウイルスと呼び、差別発言を繰り返していたことは問題視されていたけれど、メーガンはこのことについて、アジア系に対するステレオタイプを支持しないとはしながらも、中国の武漢で発見されたウイルスを人々が呼びたいように呼ぶことに問題は感じないとしていた。
過去にはアジア系アメリカ人に対する差別を煽る言葉を許容していたにもかかわらず、事件が起こったら差別を止めるよう呼びかけるというメーガンの行動を、ジョンは指摘。ヘイトを止めてと呼びかける彼女の別の行動が、ヘイトを盛り上げたことについて批判した。
これを受けて、メーガンがツイッターで謝罪。彼女は、トランプ氏が人種差別を煽ったことや、自分の発言もそれを援護したことを認めた。
I condemn the reprehensible violence and vitriol that has been targeted towards the Asian-American community. There is no doubt Donald Trump’s racist rhetoric fueled many of these attacks and I apologize for any past comments that aided that agenda.
— Meghan McCain (@MeghanMcCain) March 22, 2021
「アジア系アメリカ人を標的とした批判すべき暴力や差別を、私は批判します。ドナルド・トランプの人種差別のレトリックが、このような攻撃を加速させたことは疑いようのないものであり、そのアジェンダを助長した私の過去のすべての発言を謝罪します」
彼女の謝罪は賛否両論となっており、また、彼女がこの発言をしたのは『The View』でのことなのだから、謝罪も『The View』のなかですべきだという意見もあがっている。(フロントロウ編集部)