レイプ犯に復讐する映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』のキャリー・マリガンが、女性も性暴力に加担してきたと指摘した。(フロントロウ編集部)

女性の怒りを描く『プロミシング・ヤング・ウーマン』

 レイプ犯に復讐する映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』が、今年度アカデミー賞の作品賞、監督賞、脚本賞、主演女優賞、編集賞にノミネートされ、大きな注目を集めている。

 レイプというシリアスなテーマを扱っていながら作風はポップ、インディペンデント系作品であり、撮影は23日で終わらせたという作品が、超メジャー映画祭のアカデミー賞やゴールデン・グローブ賞で多数ノミネートされたという事実には、エメラルド・フェネル監督の才能がどれだけ観客を圧倒したかと想像させる。

 『プロミシング・ヤング・ウーマン』の主人公は、医学部を中退したキャシー。実家に戻り、カフェで働く彼女は、夜な夜なクラブへ出かけ、酔った彼女を家に連れ込みレイプしようとする男たちに復讐している。しかしある時、彼女は大学時代の同級生であるライアンと再会し、優しい彼との日々のなかで彼女の心にも変化が生まれるのだけれど、そのさなかに、ある出来事が起こる…。

性暴力に加担することは女性でもできる

 女性が日常的に受けている性別に基づく嫌がらせからレイプまで、現代社会で生きるすべての女性が身に覚えがあったり、危険を感じたりしてきた経験を克明に描いた本作。そしてそのなかで印象的なのは、被害に遭っている女性を助けない女性も描かれたということ。これもまた、現実に実際に起きていること。

 もし誰かが性暴力に加担したとしたら、その人物の性別に関係なく責任は発生する。主演のキャリー・マリガンは、その点が描かれたことも、『プロミシング・ヤング・ウーマン』を支持する理由だという。米EWのインタビューでこう語った。

 「ほとんど全ての人が、『これこそが私たちが育った環境。これ(性暴力)はテレビや映画で普通のものだった。そして私たちはそれを受け入れてきた。よって、私たちは全員それに加担してきた』と言っていた。そしてそれこそが、私がこの映画を好きな理由。悪者やヒーローはいない。私たちが長い間疑問を持たずに経験してきたことを、直視してみよう」

画像: 性暴力に加担することは女性でもできる

 『プロミシング・ヤング・ウーマン』のなかで最も衝撃的展開の1つだと言えるシーンでも、性暴力を止めない傍観者の態度を、そして多くの女性が経験したことのある絶望を、描いている。

 キャリーと同じように、「悪役というもの(が存在すること)を信じていない」というフェネル監督もまた、こんな思いを語っていた。

 「このテーマでトリッキーなのは、(性犯罪を犯す)人々はみんなが愛し尊敬するようなタイプだということ。みんなは彼らを愛し、『この人大好き。彼らがそんなひどいことをするなんて本当にひどい。でも大好きなの』とか、『彼らが大好きだから、そんなことは真実なわけがない』とか言うの。ありがちでしょ。それが、私たちが育った文化なんだよ。

 私の映画のなかでショッキングな瞬間はすべて、この10年でお笑いやテレビ番組のなかで見てきた何か…。映画制作者として、そして視聴者の1人として、この文化のなかでは私たちは全員が加担してきたと認める思いがある。そしてその加担は、みんなが好きな人たち(がひどいことをするの)をより簡単にする。そしてそれは男性だけでなく(女性キャラクターたちも)…。全員、私たちが信じた人だよ」

 男性も女性も見るべき映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』は、今夏に日本公開予定。(フロントロウ編集部)

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