第93回アカデミー賞で、デンマーク映画『アナザーラウンド』が国際長編映画賞を受賞。監督を務めたトマス・ヴィンターベアが、同作の撮影開始直後に亡くなった娘に賞を捧げた。(フロントロウ編集部)

『アナザーラウンド』がアカデミー賞国際長編映画賞を受賞

 日本時間4月26日に開催されている第93回アカデミー賞にて、マッツ・ミケルセン主演のデンマーク映画『アナザーラウンド』が国際長編映画賞を受賞した。国際長編映画賞には他に、ルーマニア映画『コレクティブ(英題)』や、ボスニア・ヘルツェゴビナ映画『Quo vadis, Aida?(原題)』、香港映画『少年の君』、チュニジア映画『ザ・マン・フー・ソールド・ヒズ・スキン(英題)』がノミネートされていた。

画像: 『アナザーラウンド』がアカデミー賞国際長編映画賞を受賞

 監督を務めたトマス・ヴィンターベアは2019年、本作の撮影がスタートして4日目に、娘のイダを交通事故で亡くすという悲劇を経験した。妻であるヘレンと共にアカデミー賞授賞式に出席したトマスは、国際長編映画賞の受賞を受けて、「マッツ、あなたは私たちに素晴らしいものをくれました。作品のためだけでなく、娘のためにもです。そのことは決して忘れません」と、主演を務めたマッツの演技に賛辞を寄せた上で、次のように続けた。

 「人生を祝福する映画を作りたいと思いました。撮影がスタートして4日目に、信じられないことが起きました。高速道路での事故で、娘の命が奪われてしまったのです。携帯電話を見ながら運転していた人がいたのです。娘が恋しいですし、娘を愛しています。私たちがこの映画の撮影を始める2ヶ月前、つまり娘が亡くなる2ヶ月前、娘はアフリカに滞在していました。娘は私に手紙を送ってくれ、脚本を気に入ったと言ってくれました。自分を理解してもらえた気持ちになったと言っていました。娘もこの映画に出演する予定でした。今も私たちと一緒に娘がここにいると信じてくださる方々には、私たちの一緒になって拍手をし、祝福している娘の姿が見えているのではと思います」。

 「私たちはこの映画を娘の記念碑として、娘のために作りました。奇跡が起きたんだよ、イダ。君はこの奇跡の一部なんだ。君がどこかで導いてくれたのかもしれないね。分からないけどさ。これは君に捧げるよ。本当にありがとう」とトマスは述べ、娘のイダに受賞を捧げた。

 マッツ演じる冴えない高校教師とその同僚3人が、ノルウェー人哲学者の「血中アルコール濃度を一定の度合いを保つと仕事の効率が良くなり想像力がみなぎる」という理論を証明するため、とんでもない実験に取り組んだことをきっかけに巻き起こる出来事を描いた映画『アナザーラウンド』は、9月3日(金)より日本全国で公開される。(フロントロウ編集部)

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