『ノマドランド』のクロエ・ジャオ監督が、アカデミー賞監督賞を受賞。女性監督として史上2人目の快挙!(フロントロウ編集部)

アジア系女性監督クロエ・ジャオの快挙

 『ノマドランド』のクロエ・ジャオ監督が、第93回アカデミー賞で監督賞を受賞した。

 アカデミー賞の監督賞は、これまでとくに女性監督が排除されてきたとして問題になってきた。事実、93年の歴史を持つアカデミー賞で、女性監督が受賞したのは、なんとたったの1回。2009年に『ハート・ロッカー』のキャサリン・ビグロー監督が受賞したのみで、ノミネーションだけに絞ったとしても、女性監督のノミネート回数は5回だけ。

 「女性監督」と一括りにする必要がなくなる時まではまだまだ長い道のりが続くけれど、そんななかで、ジャオ監督の受賞は世界をわかせている。

 また、ジャオ監督は、アジア系女性として初めて、アジア系監督としては史上5番目に監督賞にノミネートされた。

クロエ・ジャオ、心を打つ受賞スピーチ

 こんな快挙も、アカデミー賞だけでなく、世界中の映画祭を席巻しているジャオ監督にとっては、そのうちの1つなのだろうか。しかしジャオ監督によるアカデミー賞監督賞受賞のスピーチは心のこもったものであり、多くの人々の心を震わせている。

 「最近、物事が厳しい局面にある時、私はどうやって乗り越えてきたのかと頻繁に考えていました。そしてその理由は、私が子供の頃に学んだことにあるのだと思います。中国で育った時、父と私はあるゲームをよくしていました。古典的な中国のポエムを覚え、それを一緒に暗唱するというものです」

 そう語るジャオ監督が取り上げたのは、中国の伝統的な学習書の三字経。そのなかでも、監督に影響を与えた考え方は、「人之初,性本善」。

 「人は生まれながらに、本質的には善人である」とその言葉の意味を説明した監督は、これまで関わってきた人々へ感謝の言葉を述べた。

 「この6文字(人之初,性本善)は、子供の私に大きな影響を与えました。そして今でも、例え真逆のことが真実に見える時でも、私はその言葉を心から信じています。私はいつでも、自分が訪れた世界のすべての場所で出会った人々の中に善良さを見つけています。
 信じるものを持ち、善良さを自分の中に繋ぎとめる勇気、お互いのなかに繋ぎとめる勇気を持つ人たち。それがどれだけ難しいことだとしても。これ(監督賞受賞)はあなたのものです。あなたたちが私が進み続けるために影響を与えてくれているのです」

(フロントロウ編集部)

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