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1970年代に公開されたホラー映画『Wise Blood(賢い血)』で使われた「遺体」から、本物の人間の組織が検出されたとして話題になっている。(フロントロウ編集部)

映画なのに、本物の「干し首」が…

 2021年5月、1979年に公開されたホラーコメディ映画『Wise Blood(賢い血)』で使用された“遺体”が、実は本物の人間で作られていたことが判明し、関係者を騒然とさせている。

画像: 『Wise Blood』

『Wise Blood』

 発見したのは、ジョージア大学の科学者クレイグ・D・バイロンとアダム・M・キーファー。彼らは、映画『Wise Blood』で使われた遺体の頭部が本物であるかどうか、米マーサー大学の元教員に依頼されて調査していたところ、本物であることを確認したという。

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 その頭部というのは、一般的には「干し首」と呼ばれるもの。現在のエクアドルとペルーにあたる地域のヒバロー族やシュアール族が、宗教的な意味合いをもってかつて制作していた装飾品で、シュアール族の間では、ツァンツァと呼ばれる。本物の人間の頭のほか、サルやナマケモノの頭部が代用されることも。

 干し首は1800年半ばから1900年の初頭までは、世界中のマニアの間で高値で取引されており、この需要の結果、ヒバロー族は生首を求めて他の部族と戦争をするようになったという、悲しき因縁もある。

画像: 映画なのに、本物の「干し首」が…

 そんな干し首は、映画の中では偽の身体とつなぎ合わされた小道具として登場していたけれど、もし本物であればエクアドル政府に返還する必要があるため、長きにわたり研究が行なわれていた。科学者バイロン氏とキーファー氏は論文に「この特異なアーティファクト(※)は、人間の組織で構成された本物のツァンツァであると推定されます」と記載している。

※人工の遺物。

 クレイグは米The Art Newspaperに「標本を手放せてほっとしています」とコメント。なぜならツァンツァは今でも高額で闇取引されていて、所持していれば犯罪に巻き込まれる可能性もあるため。彼は続けて、「それには“アンダーグラウンド ”な価値があり、売買は違法で、人の頭の皮膚でした」とコメントした。

 なぜ映画『Wise Blood』でこの干し首が使われたのかについては明かされていないけれど、調査を行なったバイロン氏は「やりがいのある結論でした」と満足そうな反応をしている。(フロントロウ編集部)

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