エルトン・ジョンやシャーリーズ・セロンがボリス・ジョンソン英首相に呼びかけ
イギリスのボリス・ジョンソン首相を議長として、6月11~13日にイギリスのコーンワルで開かれる主要7カ国首脳会議(G7サミット)を前に、ミュージシャンのエルトン・ジョンや俳優のシャーリーズ・セロンらが、日本を含むG7としてエイズの問題に取り組んでくれるようジョンソン英首相に求めるオープンレターを公開した。
「私たちは新たなエイズの危機に直面しており、あなたの助けを必要としています」という文章から始まるこのオープンレターは、新型コロナウイルスによるパンデミックで「多くの国において文字通り一夜にしてHIVの予防や治療の手段が遮断されてしまった」現状を改善してくれるよう訴えるものになっていて、パンデミックによって「多くの女の子たちが学校に通えなくなり、貧困や、ジェンダーに基づいた暴力、人権侵害を引き起こしました。これらすべての要因が、人々がHIVに感染するリスクや、エイズを発症するリスクを増加させています」と指摘している。
【エイズとHIVの違い】
HIV(ヒト免疫不全ウイルス)の感染によって、免疫に大切な細胞が減り、さまざまな病気を発症する状態をエイズ(AIDS)=後天性免疫不全症候群という。エイズを発症してしまうと命を脅かす重度の症状を引き起こしやすくなる。一方で、HIVは近年の医療の発展とともに早期に適切な服薬治療を受ければ、免疫力を落とすことなく通常の生活を送ることが可能になってきた。
「すでに思春期の人々の妊娠が急速に増加しており、このことが、HIVの感染増加に繋がることも理解しています。世界エイズ・結核・マラリア対策基金は、HIVの検査が大幅に中断され、アフリカやアジアにおける502の医療施設で検査が41%減少していると警告しています。世界保健機関 (WHO) は、HIV治療の供給連鎖が広く混乱しているともしています」とオープンレターは続いている。「Covid-19の危機と相まって、エイズの危機が復活することで、壊滅的な状況になる可能性があります。この危機は現実のものですが、世界として賢いアクションを取ることで、克服することができるのです」。
オープンレターではジョンソン英首相やG7の首脳らに向けて次のように呼びかけられている。「あなたやG7のリーダーの方々には、エイズを2030年までに収束させるために皆さんの持ち得る力を提供し、今回の対応を、現在、また将来的な健康の危機に対処するためのインフラを整備するために使っていただきたいと思っています」。
エルトンとシャーリーズはそれぞれ個人でもエイズの問題に取り組んでおり、エルトンは「エルトン・ジョン・エイズ基金」を立ち上げているほか、シャーリーズは「シャーリーズ・セロン・アフリカ・アウトリーチ・プロジェクト」と銘打ったプロジェクトを立ち上げ、主にアフリカにおけるエイズ危機の問題に取り組んでいる。今回ジョンソン英首相に宛てて公開されたオープンレターの全文はこちらから読むことができる。(フロントロウ編集部)