10分で出演承諾したキャリー・マリガン、ご法度を犯していた
映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』は、ある事件が理由で医大を中退してカフェで働く30歳目前のキャシー(キャリー・マリガン)の物語。彼女は過去に起きたその事件が忘れられず、その事件にかかわったすべての人への復讐に出る。
のちにアカデミー賞脚本賞を受賞したエメラルド・フェネル監督による脚本を読んで「こんな脚本は初めてだったから、絶対に出演したいと思った」というキャリーは、フェネル監督と会って「10分くらいで出演を決めちゃった」とそうで、20代前半のときにやって怒られて以来は封印していた、エージェントに相談する前に出演の意志を監督に伝える、という”ご法度”を本作で犯していたことを明かして監督を笑わせた。
フェネル監督、「世の女性は、過去に執着するなと言われる」
その後話は、主人公キャシーの復讐劇へ。大学時代のクラスメートで現在は小児科医となったライアン(ボー・バーナム)と再会し、新しい恋の予感を抱くキャシー。しかし同時に、過去の事件で経験した悪夢に連れ戻され、復讐心を覚醒させる。
フェネル監督は、「キャシーや世の女性は、過去に執着するなと言われる。そして興味深いのが、女性が“過去を忘れる気はない”と宣言したときに、家や職場や恋愛関係などに摩擦が生まれること。そういう女性がいると、周りは居心地が悪くなるの」と説明。そして、「キャシーには他の選択肢がいくつも差し出される。彼女が過去を手放しさえすれば、すてきな人生を歩むこともできる。でも彼女は断固としてつらく厳しい道を選ぶ」と続け、「つらい生き方だけど、私たちには彼女の気持ちが分かる」と締めた。
悪者でなくても、悪気がなくても、悪いことはできる
そして、本作に登場する男性陣の話になると、キャリーもフェネル監督もすぐに顔をほころばせて「本当にいい人たち」などと大絶賛。キャリーは、分かりやすい悪人ではなく人間としての弱さを見せるという難しい役に「全力で挑んでくれた」と称賛した。
それに同意したフェネル監督は、同時に、男性陣の演技の背景にあった思いをこう明かした。
「出演者全員につたえたことは、どの役も自分が悪いとは思っていないということ。アダム(・ブロディ)が演じた男も純粋にラブコメ気分に浸っている。実際、ラブコメを見ると女性は口数が少なくて、男性はただそこにいる女性に恋してるだけ。でも悪者なんかじゃなくて、悪意すらなくても間違いを犯していることがある。例えば男女間の力関係でも、ごくまともな男性でも自分が持ち力に無自覚だったり、無意識に相手の弱みにつけ込んでいたりすることがある。いろんな男性が登場するけど、女性の誰かが必ず言ってたわ。『経験ある』って(笑)。だから出演者には難しいシーンとは思わずに、ラブコメだと思って女性を口説いてもらった」
エメラルド・フェネル監督からの問いかけがつまった映画『プロミシング・ヤング・ウーマン』は、7月16日(金)より全国公開。(フロントロウ編集部)