自身のアルバム6枚を再レコーディング中のテイラー・スウィフト
2020年に『フォークロア』と『エヴァーモア』の姉妹作となる2枚のアルバムをリリースしながら、同時進行で、デビューから2018年のレーベル移籍までにリリースした過去の6作の再レコーディングにも着手したテイラー・スウィフト。彼女が再レコーディングしているのは、音楽マネージャーであるスクーター・ブラウンとの原盤権買収・売却騒動のなかで6枚のアルバムの原盤権を自分の手に取り戻すためで、今年4月9日にはその第一弾となる、2008年にリリースしたセカンドアルバムの再録版『フィアレス(テイラーズ・バージョン)』が早くもリリースされた。
テイラーは既に再録アルバムの第二弾として、2012年に発表した4thアルバムを再レコーディングした『レッド(テイラーズ・バージョン)』を11月19日にリリースすることを発表しているほか、2014年にリリースした5作目のアルバム『1989』の再録版のリリースも近いのではないかとファンの間では囁かれている。
再録版『フィアレス』はグラミー賞に提出しない
ソングライターとしての多作っぷりをこれでもかと発揮しているここ最近のテイラーだが、今年のグラミー賞では、2020年リリースのアルバム『フォークロア』が主要部門の最優秀アルバム賞を受賞し、3度年間最優秀アルバム賞を受賞した初めての女性アーティストになるという偉業も達成。来年のグラミー賞での躍進も期待されているなか、今年リリースした『フィアレス(テイラーズ・バージョン)』については、グラミー賞とカントリーミュージック協会賞のいかなる部門にも提出しないという。
というのも、『フィアレス』は2008年にリリースしたオリジナルバージョンが既にグラミー賞もカントリーミュージック協会賞も受賞しているというのが主な理由。テイラーが所属するリパブリック・レコーズの担当者は今回の決定について、「『フィアレス』は既に最優秀アルバム賞を含むグラミー賞の4部門を受賞したほか、2009年から2010年にかけてのカントリーミュージック協会賞でも最優秀アルバム賞を受賞し、今なお、史上最も音楽賞を受賞したカントリーアルバムとなっています」と米Billboardに説明した。
一方で、最新スタジオアルバムである『エヴァーモア』については引き続き2つの音楽賞の候補となっており、テイラーは『フィアレス(テイラーズ・バージョン)』も提出することで、審査員の票が割れることを懸念したとも米Billboardは指摘している。
アーティストであれば、2枚のアルバムを提出して受賞の可能性を広げようと考えそうなものだが、既にオリジナル版が受賞しているという前提があるとはいえ、1枚は提出しないという選択ができるのは、継続して名作を生み出すことができるアーティストだからこそ。テイラー本人にもきっと、『エヴァーモア』と『フィアレス(テイラーズ・バージョン)』の両方ともが、審査員から確実に票を集める傑作だという自信があるのだろう。(フロントロウ編集部)